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第34話

3日目-3
稲汰
いってきまーすっ!
神奈
うん、いってらっしゃい、なー君!
扉の向こうに神奈を残して、稲汰は塾に向かう。家の外に出た瞬間、ムシムシとした熱気が稲汰を襲った。
稲汰
あっつ……
思わず声が零れる。熱気を浴びているうちに、先程の頭痛と胸の痛みが返ってきた。
ズキンッズキン。ツキンッツキン。
身体的にも精神的にも痛みが酷く、その場にうずくまりそうになる。……が、その痛みに耐える中で、どこからか自分を呼ぶ声が聞こえてくる。それは、だんだん近くなり、いつの間にか……
沢君?……顔色悪いけど、大丈夫?
すぐそばから、女子の声が聞こえた。微かに、ラムネの爽やかな香りがする。どうやら、同じ塾に通っているクラスメイトのようだ。
稲汰
大丈夫……ありがとう。
クラスメイト
沢君、待ってっ……!!
不思議に思い振り返ると、そのクラスメイトは今にも倒れるのではと思うほど頬を赤く染めている。捕まれている所も熱い。
稲汰
えっ……君が具合悪い?大丈夫??熱中症なんzy
クラスメイト
違うの
クラスメイト
沢稲汰君。好きです。
短く、端的に告げられた二言。その意味を理解するのに時間がかかったのは、暑さのせいだけではないだろう。
体温が上昇し、頬が熱くなるのを感じる。痛みなんて、どこかに消えていた。
(稲汰)今……なんて?聞き間違えじゃなければ、〝好き〟って……?
稲汰
ごめん、……もっかい言ってもらってもいいかな?
クラスメイト
好きです
瞳と瞳が合う。熱で潤んだ瞳。きっとこれは、冗談じゃない。自分も同じ感情を持っているから、わかる。
(稲汰)でも僕には
稲汰
……ごめん
(稲汰)神奈ちゃんがいるんだ。たとえ神奈ちゃんに好きな人がいても、彼氏ができても、他の人なんて、考えられない。
クラスメイト
うん、わかってた。だから最後に、迷惑かけてもいい……?
その、一瞬。稲汰には、数分間のスロー画像を見ているように感じられた。
──ファーストキスは、ラムネの味。