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第39話

3日目-8
〝不器用な優しさ〟。神奈は、そこが好きだと言った。
(稲汰)僕も、いつだって神奈ちゃんに優しくしてきたつもりだったのに。僕の優しさが、神奈ちゃんに届くことはなかったのかな……
沈んだ気持ちの稲汰とは対照的に、神奈はニコニコしている。稲汰に気持ちを打ち明けることができたのが、よっぽど嬉しいのだろう。
神奈
やっぱり、なー君は優しいねっ!いつだって私の味方でいてくれる。なー君のこと、大好きだよっ♪
追い討ちをかけるように、神奈が言葉を発する。
〝優しい〟と。
〝大好き〟と。
その言葉を素直に受け入れることができるほど、稲汰は大人ではなかった。
(稲汰)神奈ちゃん……
神奈
なー君、今日は話聞いてくれてありがとう!なー君に隠し事を続けるのは辛かったから、すごく嬉しい。……また、話聞いてくれる?
神奈は満足したのか、話を切り上げようとしている。稲汰の心を、置き去りにしたまま。
稲汰
……リだよ……
神奈
えっ?
稲汰
そんなの……僕にはムリだよ……
小さい声で、呟く。これ以上、気持ちを押し込めることはできなかったから。でも、神奈に醜い自分を見せたくなかったから。
神奈
なー君??ごめん、なんて言ってるのか聞こえないよ……?
案の定、神奈に稲汰の呟きが聞こえることはなかったらしい。だが、稲汰の心は、限界だった。
(稲汰)僕だって。……僕だって、神奈ちゃんに隠し事を続けるのは辛いんだよ……っ
稲汰
神奈ちゃん、僕、神奈ちゃんのことがっ……
『私は、拓のことを諦められないんだ。』
神奈に想いを告げ、楽になってしまおうとした、その瞬間。稲汰を繋ぎ止めたのは、少し前の神奈の言葉だった。
神奈
……?どうしたの?
稲汰は、はっと我に返る。……今、自分自身が何を言おうとしていたのか気づいた瞬間、驚いた……というより、自分自身に呆れてしまった。
稲汰
……ううん。ごめん神奈ちゃん、何でもない!
笑顔で返す。稲汰の気持ちは、それほど沈んでいなかった。なぜなら──
(稲汰)僕を辛くするのも、助けてくれるのも、神奈ちゃんの言葉だなんて、笑っちゃうや。
〝覚悟しててね。神奈ちゃん。西内 拓。いつか絶対、神奈ちゃんの瞳に映ってみせるから。〟