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第35話

3日目-4
沙那さな。それが、彼女の名前だった。稲汰の通っている学校でも人気が高く、〝立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花〟と、冗談抜きで噂されている完璧美少女。
稲汰は塾を終え、久しぶりにひまわり畑に足を運んだ。だが、そこで思い出すのは、神奈との思い出ではなく、先程の沙那との出来事ばかり。
~・~
沙那
うん、わかってた。だから最後に、迷惑かけてもいい……?
そう言うと沙那は、稲汰の言葉を待つことなく、稲汰の唇に触れた。強いラムネの香りが、稲汰の鼻腔をくすぐる。稲汰から唇を離すと、沙那は不敵で妖艶な笑みを浮かべていた。
沙那
ごめんなさい。嘘……ついちゃった。〝最後〟なんかじゃない。沢君のこと諦めたりする気ないもん。沢君がだーい好きな伊井出神奈ちゃんなんかより、私の方がいいって、気づかせてあげる。
稲汰は、しばらく言葉を発することができず呆然としていた。言葉通り学園のアイドルが、自分なんかに告白しているのだ。その上、諦めないと。だが、稲汰には1つ引っ掛かることがあった。
稲汰
沙那さん、なんで神奈ちゃんのこと知って──
沙那
あ、そろそろ時間だ!また明日・・・・ね、沢君♪
そう言い残すと、沙那は稲汰の答えを待つことなく、道の向こうに消えていった。
~・~
(稲汰)沙那さん……。僕、沙那さんと話したことないのに、なんで沙那さんは僕のことを好きに?それに、神奈ちゃんのことも。学校で神奈ちゃんの話なんてしたことないのに、なんで知っているの……??
そこまで考えると、不意に、強い風が吹いた。稲汰は顔をあげると、ひまわりの向こう側に、一瞬人影が見えた。
稲汰は少し不安になり、人影の見えた方向に行ってみた。だが、そこには誰もおらず、人が通った跡も残されていなかった。
(稲汰)あれ?見間違いかなぁ……
まだ腑に落ちないが、瞳を閉じ、再び沙那のことについて考え始める。
ひまわり畑の奥では、拓が、ひまわりに寄っ掛かりながら稲汰の様子をうかがっていた。