悩んでいたことが、意外にもあっさり解決してしたったことに、神奈は驚きを隠せなかった。
悩みが無くなった途端、神奈の頭の中には疑問が次々と湧いてくる。その疑問にも、稲汰は焦ることなく答えていく。
今まで稲汰が側にいるのが普通だったからだろうか、こんなに優しくて人思いの幼なじみがいることに、何も感じなかった。
(神奈)でも、今ならわかる。こんなにも私のことを大事にしてくれるのは、なー君だけだって……!
顔をあげると、ニヤニヤ顔の稲汰がいた。
(神奈)うわ~っ!!ついなー君に、“恋はしたい”なんて言っちゃったんだった~!!
神奈は、恥ずかしさがMAXに達し、開き直るしかなくなった。
稲汰は、少し嫌そうな顔をしたけれど、すぐにいつもの笑顔で許可してくれたのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。