あなたが山を見上げている隣で、善逸は既に逃げ腰になりながらカタカタと震えていた。
あなたと善逸が茶番をかましている時だった。
大きな悲鳴を上げた善逸は、あなたの後ろに隠れてしまった。自分より背の低いあなたの後ろに隠れている姿は、情けないとしか言いようがない。
あなたは鬼の元へ歩み寄ると、呼吸すら使わずにその頚を斬り落とした。
あなたは日輪刀についた血を振り払うと、鬼がうじゃうじゃと潜む山の中へ進んで行く。善逸は一瞬ついて行くか悩んだが、夜の闇の中1人で師範の帰りを待つのは考えただけでも恐ろしすぎる。
おんおんと泣きじゃくりながら善逸はあなたのことを追う。
16歳の少年が14歳の少女に泣きつく姿は、情けないとしか言いようがない。
あなたは今更ながら彼を継子に選んだことを後悔するのだった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。