一連の流れをじっと見ていたシャボさんが私に問いかけた。
私の頭に一瞬だけ殴られた記憶が蘇る。
全力でその記憶を無かったことにした。
認めたくなかったことを言われてしまった。心の隅で思ってた。友達って本当にこんな感じなのかなって。でも、それを判断する材料は私にはなかった。
だから、ないって言い切れない。
私が持っているノートの束を見て、シャボさんがいった。
私は通学カバンからトートバックを取りだして、そこにはなちゃんの宿題を包んで、カバンに入れた。
私の作業を隣で見ていたシャボさんが言う。
私は基本トートバックと未使用のビニール袋をカバンに入れている。誰かのノートを汚さないように、ゴミ袋に使うために。
気づけば人のための持ち物がカバンの中身の大半を占めていた。
シャボさんの口から、いつもよりもっと機械的な音が流れた。
レクイエム君が走ってきて、シャボさんの前に立った。
レクイエム君がシャボさんを掴んで持ち上げた。
もう私の用はないから、部室に行こう。
私は部室の方に向かって歩き出した。
ドサドサッ
肩にかけていたカバンを落としてしまった。蓋が空いていたカバンから教科書やノートが雪崩のように流れ出る。
びっくりした名残りで高くなっていた声を咳払いで治したレクイエム君が言った。
どうやら私に気付いていなかったようだ。
レクイエム君が教科書を拾って私に渡してくれた。
私は落としたノートをなおしながら言った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。