前の話
一覧へ
次の話

第20話

プログラム
703
2022/10/22 11:00
シャボ
誰でありますか?
一連の流れをじっと見ていたシャボさんが私に問いかけた。
あなた
あの子は…私の、友達の、はなちゃんです
私の頭に一瞬だけ殴られた記憶が蘇る。
あなた
(違う。あれはわざとじゃない。きっともう反省している。)
全力でその記憶を無かったことにした。
シャボ
シャー?拙者にプログラムされた『友達』は、こうじゃなかったでありますぞ?
シャボ
はな殿は、『敵』でありますか?
あなた
(そんな…)
認めたくなかったことを言われてしまった。心の隅で思ってた。友達って本当にこんな感じなのかなって。でも、それを判断する材料は私にはなかった。
あなた
そんな、ことは…
だから、ないって言い切れない。
シャボ
シャー?
シャボ
…その荷物は、どうするでありますか?
私が持っているノートの束を見て、シャボさんがいった。
あなた
あ、ちょっと待っててください
私は通学カバンからトートバックを取りだして、そこにはなちゃんの宿題を包んで、カバンに入れた。
シャボ
なんで、わざわざ包むでありますか?
私の作業を隣で見ていたシャボさんが言う。
あなた
汚したら、困るかなって。
私は基本トートバックと未使用のビニール袋をカバンに入れている。誰かのノートを汚さないように、ゴミ袋に使うために。
気づけば人のための持ち物がカバンの中身の大半を占めていた。
シャボ
あなたは几帳面でありますなー!
シャボ
『バッテリー残量残り僅か…』
シャボさんの口から、いつもよりもっと機械的な音が流れた。
シャボ
充電が切れそうであります!
あなた
もうですか!?ど、どうしましょう!?
レクイエム(サブロー)
シャボ!探したぞ
あなた
あ、レクイエム君…!
レクイエム君が走ってきて、シャボさんの前に立った。
シャボ
レクイエム殿!拙者は、ティラ様を探していたであります!
レクイエム(サブロー)
今日は貸倉庫じゃなかった…我々のアジトで活動するって言ったじゃないか!
シャボ
そ、そうでありました!
レクイエム(サブロー)
ティラもそこで待ってる。早く行こう
レクイエム君がシャボさんを掴んで持ち上げた。
あなた
(良かった。)
もう私の用はないから、部室に行こう。
私は部室の方に向かって歩き出した。
あなた
わっ
レクイエム(サブロー)
うわぁっ!?
ドサドサッ
肩にかけていたカバンを落としてしまった。蓋が空いていたカバンから教科書やノートが雪崩のように流れ出る。
あなた
(びっくりした…レクイエム君の声に。)
レクイエム(サブロー)
あなた!?ん"ん"ッッいつここに来たんだ?
びっくりした名残りで高くなっていた声を咳払いで治したレクイエム君が言った。
あなた
ずっと居ました
どうやら私に気付いていなかったようだ。
レクイエム(サブロー)
そうなのか!?…どうやら神隠しゴットハイドにあっていたようだな…
あなた
(そうじゃないと思うけど…)
レクイエム君が教科書を拾って私に渡してくれた。
あなた
あ、ありがとう…
レクイエム(サブロー)
では、僕は失礼する。
あなた
…またね
私は落としたノートをなおしながら言った。

プリ小説オーディオドラマ