第4話

#3
2,110
2020/04/18 07:06
……カナヲから貰った、お萩を取り出す。

捨てるのは……流石に申し訳ないので、一口だけでも食べようと思ったのだ。
あなた
あ………。
久しぶりに見る、甘味。

……見ただけで。



思い出してしまう。













──あなた、一緒に萩食うかァ? …あ? んな事してないで鍛錬だァ?



…はっ、相変わらず真面目な野郎だなァ。



別にいいんだけどよォ。俺があなたの分も食っとくわァ。







──…なんだ、やっぱり食うんじゃねぇか。素直じゃねぇ奴だなァ、あなたは。
















……ポタポタッ…
あなた
あっ……ぁ…
在りし日の記憶が蘇る。
お萩1つにも……大事な、大事な思い出が詰まってる。
師範は……本当に、笑顔が似合う人だった﹅﹅﹅
笑うと、凄く…優しい顔になるんだ。
あなた
嫌だっ……い、やだ………師範…っ…
あなた
私を………置いて、いかないでっ……
師範が、血塗れでその場に倒れ込んだ時。

意味がわからなくなって……頭が、真っ白になって。
師範の身体は……どんどん…どんどん、冷たくなっていって…。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
不死川実弥
…………………あなたっ………
あなた
し、師範ッッ…!! 何でっ…何で…!!
不死川実弥
……なァ…あなた……ゴホッ……
掠れた声で…小さな声で。

もう、話す余裕もあまり無いのだろう。
それを、理解すると……頭痛がした。

頭が、痛くて。

胸が……とても、苦しくて。
不死川実弥
今日っ…は……星が、綺麗…………だな…
あなた
っ…!!!
微笑みながら。

私の方に手を伸ばして。


……けれど、その手が…私に届くことは、なかった。









──その時にはもう、師範は……。







日が昇って。

怒りのままに……無惨を倒して。



炭治郎が、鬼に……なって。

でも、最後には……人間に戻った。
師範の元へ駆け寄る。
不死川実弥
………
あなた
っ……しは、ん……。
あなた
…嗚呼、今日はやけに……






︎︎
あなた
太陽が………眩し、いですねっ………










︎︎
……私の心に、雨が降って。

視界が霞んで、何も見えない。



貴方が居ない限り。

この視界が晴れることは……絶対にないだろう。









貴方は、私の生きる意味。




──…私の、光だったんだ。














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