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第16話

【Six・Explore〔4〕】
7:15
管制室の人から社長室の位置を教えてもらった。
「お邪魔しますね」
誰もいないであろう部屋をノックして、ドアノブを回す。しかし、ガチャガチャと音をたてて、私達が中に入るのを拒む。
「鍵…もしかしてさっきのやつじゃねーか?」
「でしょうね。これで違ったらかっこ悪いですよ?」
キツイ冗談だ。と、苦笑いしながら、鍵穴に鍵を挿す。先程とはまったく違い、すんなりと開く。
「…かなり散らかってますね」
机の上にはデザイン案であろう、紙が散乱している。本棚には大量のファイル。地面にも本が山積みだ。風でガタガタと音を立ててる窓の前にあるたんすの上も、紙の束が積み重なってる。
「俺の部屋よりはマシだ。さ、手掛かり探しだ」
この人の部屋と比べてはいけないと思うが…私も探査を始めた。アンドウさんは机を、私は本棚を確認した。
「…おいツジ。女っつーのはこういうのが好みなのか」
アンドウさんは振り返り、デザイン案を見せる。ワンピースタイプの服だろうが、隠れているのが胸部の、それも胸だけが隠れてていて、他がまったくなく──かろうじて、上下を繋ぐ布はある──スカートも短い。
「あの…万人が好き好んで着るわけではないと思います…」
私は絶対着たくない。困惑しながら本棚を確認する。これは、ファッションの資料みたいだ。ふと、奥を観ると木とは違う素材の壁が視える。よく観ると、同じファイルなのに、位置が前後している。思い切って一列全部出してみた。
「…?ツジ。お前一体…何を?」
「奥に何かが…あった」
青いジッパー付きの袋が三つ。中を見ると、黒い髪の毛が目に付く。中身は全て同じだが、なかには茶色だったりする。
「かつら…しかも、長いのまで……もしかして」
「悪いが、予感は的中だぜ。棚にはキャップと女物の髪飾り。たんすはパーカーやらスカートやら。クローゼットにはスーツとドレスまである。どうやら変装もやってるっぽいな。ブラジャーまでありやがる」
「一体なんの為に…」
「さあな……っつわぁ?!」
アンドウさんが素っ頓狂な声をあげた。どうやら、たんすの紙束が隙間風でバラバラに飛んだようだ。たんすを調べていたアンドウさんは巻き込めらたらしい。
「大丈夫ですか?アンドウさん」
「あぁ、大丈夫だぜ……って、なんだこりゃ。写真?ネガも…」
それは、写真だ。オフショットと言ってもいいだろうか。しかし、内容が酷い。ある物は事故現場──車からの写真だろう──の写真。舞台袖からの──事故現場がハッキリ写ってる──写真だったり、女性に話しかける男──背景はこの館だ──がある。他にも、女性二人のプリクラ。自撮り写真。画像の共通点は、全員招待された人だ。
「……こりゃ趣味悪い…なぜこんなヤツが俺らなんか招待したんだ?しかも…」
「これは…招待した人は違うかも知れません」
「はぁ?そりゃどういう…」
話を止めたのは、私が一冊のノートを見ていたからだ。アンドウさんものぞき込む。これは、日記のようだ。

『○月○日
ウザイ舞台女優をウザイ舞台女の手で落とした。これは弱みになる。この仕事に飽きてからも憶えておこう』
『○月○日
俺の狙ってる女を横取りした男を轢いた。俺からアイツを取った罰だ。しばらく頭を冷やせ』
『○月○日
顔がそこそこだからっていい気になってるヤツと幸せそうな女を同時に成敗した。俺に見せつけるようなことするからだ』

最初は人の人生を台無しにした事の報告だった。しかし、最近になると会社が絡んできた。

『○月○日
俺の会社も大企業になった。警戒して顔を隠していたのが、逆に有名になる鍵になった』
『○月○日
長年、脅しの為に貯めてきた証拠を使える時がきた。パーティを開いて、コネを作ろう』
『○月○日
しまった。証拠を見られた!これでは手を回される可能性がある!しまった。今更中止になどできない』
『○月○日
いい方法を思いついた。ヤツが証拠を見ている写真が撮れた。いざとなれば使える。むしろ俺がヒーローになれる。いいカモだ』

そこで日記は終わってる。
「こいつは…」
「犯人と動機……そう言うことでしたか」
パタリ、とノートを閉じる。覚悟を決めて、部屋を出る。

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望仁香
望仁香
お手柔らかにお願いしますm(_ _)m 誤字・脱字多々あると思われ…… 書くジャンルはバラバラになるかもしれないです。
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