「あ、フクナも一緒にいこうね!」
モモが私に気を使ってくれたのか
話題を振ってくれた。
「あ…うん!」
一応返事はしとく。
断るとなんかめんどくさそうだったし。
「じゃ早く元気にならないとね!!」
「アスレチックとか行きたいな」
みんなが口々に言う。
元気になるより記憶を戻すのが先だろ、と
思ったのは私だけじゃないと思う。
いくら元気になったって記憶が戻らなければ
仲良くなれなければ絶対に楽しめないのだから。
「よし、じゃあそろそろ帰るか!」
「だな」
「じゃあね!フクナ!」
「菜々美また来るわ」
「またね!!」
このとき私は気づいてしまった。
マサイくんだけが私を"菜々美"と呼ぶことを。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。