第9話

❁︎
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2021/02/05 12:20
「待って!」



今度は俺が言われる番だった。
まさか、壮五とここねがそんな仲だったなんて。



「は...はぁっ、けっこ、走ったな...?」



なんてつぶやく。
スマホを構えて、"大和さん"をタッチする。

とりあえず、現状説明しなくちゃだ。



「もしもし、大和さん?」


『おー、ミツ?どした?』


「公園で会えねえ?」


『会えるけど』



俺は簡単に一言だけ伝えた。

_ここね、壮五にキスされてた



「はええな、大和さん」


「ちょ、なに呑気に言ってんだばか」


「ははは」



説明した。
大和さんが結婚の話をしたこと、俺がついそっけなく返事をしたこと、
泣きながら出てったこと、壮五に額だけどキスされてたこと。

大和さん、驚き過ぎ。



「...はあ?!」




「うっせーな」



「うそだろ!?あいつ...はあ!?」



頭に軽くチョップを落とす。
落ち着いたみたいだ。



「お前がそっけない返事したからしょげてただけだろー」


「キスすんのか、普通」


「あいつら、結構仲いいからな」



そんなん、知らなかった。
意外と俺に言ってなかったこともあったんだな。


「とりあえず、ソウに聞くしかないだろ」


「待ってって言ってたの無視してきた」


「そりゃお互い様」



大和さんがスマホで壮五を呼び出す。
俺は、そのうちにそろりと抜け出す。

_向かったのは、とある書店。



「あの、__に関しての雑誌って」


「こちらです」



もし壮五とここねがそんな関係だったら、もうチャンスってないだろ。
これはここね信じてるからの行動。



「わ、大量...!」


「どんな形式にしますか?」


「いや...ただ、伝えたいだけなんですけど」


「では、こちらの雑誌などいかがでしょう?」



差し出された雑誌。
パラパラとめくると、_____に関しての情報ばっか。

適当に店員さんに挨拶すると、俺はレジに向かってこの本を買った。



「1080円になります」


「ちょうどで」


「ちょうどお預かり致します。レシートです。ありがとうございました」



機械的な台詞に苦笑しながら、俺は大和さんに見つからないように、そっと寮へと戻った。

ニュースをつけてさっそく買った雑誌を眺める。



「...これだな」





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