目が覚めると、お医者さんがいて「極度の栄養不足です。」と告げた。そして兄さんに何やら言った後出ていった。………ところで兄さん。その手に持ってるお粥は何ですか?
この後、僕らのやり取りは看護師さんに「病院ですよ?静かになさって下さい。」と怒られるまで続いたのだった。
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僕はまた病院を抜けてすぐ側にある丘に行った。勿論帝さんに会いたかったからだ。僕が行くと帝さんは既に居ていつもの様に木陰で本を読んでいた。
帝さんは本から目を離し、此方を見た瞬間驚きの声を上げる。それもそのハズ、僕は帝さんに向かって思いっきり体当たりしようとしているからだ。
僕が体当たりすると意外な事に帝さんに受け止められていた。てっきり芝生に投げ出されるかと思っていたのに意外と力があったらしい。…華奢で力なんか無さそうなのになぁ。
それだけ言うと帝さんは急に激しく咳き込み始めた。僕はパニックになって謝る事しか出来なかった。
慌てて辺りを見回した僕の目に、病院から兄さんが映った。
今まで出した事ない程の声量で叫ぶ。兄さんは此方を向いた瞬間急いで駆け寄ってきた。
帝、という名前を出した瞬間兄さんの顔が歪んだ気がしたがそれも気の所為でいつの間にか真剣な表情になっていた。兄さんは帝さんを担いで急いで病院に駆けて行った。
その後ろ姿を見送りながらふと、考えた。僕があんな事をしなければ帝さんはあんな苦しそうな顔をしなかったのではないか?僕に体力があれば兄さんを手伝えたのではないか?、と。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。