数秒前碧依が「…迷惑を掛けます。ごめんなさい。でも、僕はこれ以上ここに居たくないんです。ごめんなさい。」と言い終わった瞬間、何か…碧依の雰囲気が変わった気がする。…この人は碧依なのか?
葵、と名乗った少女は淡々と告げた。
正直何が何やら分からないし混乱している。
多重人格…それについて兎や角言う気は無い。大人びていても碧依はまだたったの9歳なのだから。
…人格年齢…?人格も人間だから年齢くらいあると思うが碧依より歳上と言われるとよく分からなかった。俺は多重人格について知識が余り無い。
……どうしよう。碧依の意思を尊重したい。でも、葵と名乗る少女を信用してもいいのだろうか…。
「僕は主人…碧依の為に居る存在ですから。」と目を伏せて葵が付け加えた。
俺も分からない事が多かったので言葉に甘えて色々質問させてもらった。質問し終わると続けて紅音、凛、朱香も葵に質問した。
言い終わると葵は本当に碧依の様に振舞った。真実を知らない人が見たら絶対に騙されるだろう。
─────いつか妹に会える日は来るのだろうか。
それまで沢山碧依の体と葵と紅音を甘やかそう。シスコンだと言われてもいい。何と言われてもいい。これしか妹の心を癒す方法は考えつかなかった。
END𓂃 𓈒𓏸☀︎*.。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。