第4話

4Daily‪‪𓂃 ☀︎*.。
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2021/04/29 11:49
帝さんが目を覚ました。
僕は直ぐに謝って、謝って、ずっと謝った。
許されない事をしたのも、ただの自己満足なのも分かっていて謝った。するといつもの様な優しい声が「気にしないで。」と言った。…でも、帝さんはまた目を閉じると眠ってしまった。それを見た兄さんが僕を手招きして病室から出る様に言った。大切な話があるから、と。
嫌な予感がするのに、聞かなきゃならない気がして、僕は病室から出た。…帝さんの顔をドアを閉める時まで見詰めていた。
瀬尾 凪
瀬尾 凪
…碧依。帝さんの名字と年齢って…分かるか?
勿論。と言って年齢と名字を言うと兄さんは顔を顰めて…聞いた。
瀬尾 凪
瀬尾 凪
………碧依はあの人の事が好きなのか?
そう僕に尋ねた兄さんの声色が何時になく真剣だった。
瀬尾 _碧依@アオイ_
瀬尾 碧依アオイ
…何でそんなこ
何でそんな事、と言いかけた僕は兄さんの顔を見ていたら続きを言えなくなった。そして一言、そうだよ。と返答すると兄さんは「これから言う事を聞いても取り乱さないで欲しい。」と悲しそうな顔をして言ったんだ。
瀬尾 凪
瀬尾 凪
帝さん…いや帝は俺の…俺の双子の弟だ。
ヒュッと口から息が洩れた。「ほんとうに…?」と尋ねる声は罅割れていて自分の声だとは思えなかった。
瀬尾 凪
瀬尾 凪
…ああ。小さい頃心臓を悪くしたんだがあの両親が放っておいた為にここまで酷くなりもう手が付けられなくなった。…婆さんは帝の顔を見る前に親が親戚に預けたから心臓の事なんて知らなかったんだ。
瀬尾 _碧依@アオイ_
瀬尾 碧依アオイ
…うそ、だ。
瀬尾 _碧依@アオイ_
瀬尾 碧依アオイ
冗談でしょ?!ねぇ!帝さんが兄さんで!心臓病ももう手が付けられないなんて!…お願いだから、冗談って言ってよ…。初めて好きになった人が兄さんで、もう助からないなんて…そんなのってないよ…あんまりだよ…。
そこが病院だという事も忘れて僕は叫んだ。最後の方は掠れて、言葉になっていなかった。
瀬尾 凪
瀬尾 凪
…本当なんだよ。
兄さんは、ゆっくり、諭すように答えた。
瀬尾 _碧依@アオイ_
瀬尾 碧依アオイ
………………………そっか。分かったよ。
帝兄さんはもう駄目なんだね。ごめんね取り乱して。もう大丈夫だから。
そのまま僕は帝さん…いや帝兄さんと過ごしたあの丘に言った。もう、全てがどうでもよかった。ただ帝兄さんが生きている事だけが僕の生きる意味だった。…帝兄さんが死んだら僕はどうすればいいんだろう。
瀬尾 _碧依@アオイ_
瀬尾 碧依アオイ
…どうせ死ぬなら苦しくない死に方がいいなぁ。
誰もいない丘でそう呟いた。
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