校門を見上げながら思った。俺の知ってる大きさじゃない。通常の2倍はあるだろコレ。
俺、夜桜 宇汰は今日から仙台の山奥にある“葉李乃実高校”に転校することとなった。しかもまぁなんと、4月の中旬という始業式参加出来ただろレベルの時期に。
名前からして分かるだろう。
ここは普通の高校じゃない。
山奥にあるため土地が余ってるのか、えげつない広さだ。高校にここまでの広さはいらない。
この高校のパンフレットによれば男子校で全寮制の学校らしい。ここまではまだいいだろう。
だが、上下関係がおかしかったりする。なんならパンフレットに『理事長の次に生徒会が一番偉い存在だ』らしきことが書いてある。教師の立ち位置よ。
そしてもう1つ、俺的には1番無くなってほしい校則があった。それは...
『校外で恋愛をしてはいけない、付き合うならばこの高校の生徒と付き合わなければならない校則』
なんだこれ。意味がわからん。いくらいとこから強制的に連れてこられたからって俺はそんな校則守りたくない。だからそのいとこに宣言した。
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思わずキレた。
これは仕方がない。
クソ野郎、俺のいとこが言うソウウケとやらには絶対になってやらない。
そんなことを思い出しながら俺は学校の門をくぐり職員室へ直行した。
こんなくそ広い学校絶対迷うに決まってる、と俺の第六感が言ったので脅しという形になってしまったが事前にいとこから地図を送らせたので迷うことは無かった。
3回ノック...3回ノック...
コンッコンッコンッ...ガラガラガラ
…金髪でピアスバリバリ付けてるホストかぁ。担任がホストって親にどう説明すればいいんだよ。言わなきゃいいのか?でも人は見た目で決めつけちゃダメだ、ってじいちゃんに言われたからもうちょい様子を見よう。俺も金髪だから人のこと言えないけど。でも俺の金髪は染めた訳ではなく地毛だから。ここ大切。地毛だから!
意外と良い教師だった。
階段上がっては下がり廊下を歩いては曲がり…を繰り返してたら教室着いた。
どうやら俺は2-A組らしい。
チャラ男が先に行っちゃったや。なんか叫び声が聞こえる。キャーって。…あれ?ここって男子校だよな。なんで女子みたいな高音出せんの??
未知の男子校って怖ぇ。
…呼ばれたや。
ガラガラガラ
とてつもなく凄いことを言われた気がしたがほっておこう。そして俺は自己紹介した。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。
登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。