第2話

1話
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2022/08/26 18:59
夜桜 宇汰
...でっけぇ入口だな
校門を見上げながら思った。俺の知ってる大きさじゃない。通常の2倍はあるだろコレ。

俺、夜桜 宇汰よざくら う たは今日から仙台の山奥にある“葉李乃実ぱ い の み高校”に転校することとなった。しかもまぁなんと、4月の中旬という始業式参加出来ただろレベルの時期に。
名前からして分かるだろう。
ここは普通の高校じゃない。

山奥にあるため土地が余ってるのか、えげつない広さだ。高校にここまでの広さはいらない。

この高校のパンフレットによれば男子校で全寮制の学校らしい。ここまではまだいいだろう。
だが、上下関係がおかしかったりする。なんならパンフレットに『理事長の次に生徒会が一番偉い存在だ』らしきことが書いてある。教師の立ち位置よ。
そしてもう1つ、俺的には1番無くなってほしい校則があった。それは...
『校外で恋愛をしてはいけない、付き合うならばこの高校の生徒と付き合わなければならない校則』
なんだこれ。意味がわからん。いくらいとこから強制的に連れてこられたからって俺はそんな校則守りたくない。だからそのいとこに宣言した。
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夜桜 宇汰
俺は絶対誰とも付き合わずに高校を卒業してみせる
問題のいとこ
無理に決まってるでしょ?
問題のいとこ
総受けをめちゃくちゃ期待してるね!
僕に尊いを頂戴!
夜桜 宇汰
は?
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思わずキレた。
これは仕方がない。

クソ野郎、俺のいとこが言うソウウケとやらには絶対になってやらない。
そんなことを思い出しながら俺は学校の門をくぐり職員室へ直行した。
こんなくそ広い学校絶対迷うに決まってる、と俺の第六感が言ったので脅しという形になってしまったが事前にいとこから地図を送らせたので迷うことは無かった。
夜桜 宇汰
ここが職員室か、
3回ノック...3回ノック...
コンッコンッコンッ...ガラガラガラ
夜桜 宇汰
失礼します。今日からこの高校に転校してきた夜桜宇汰です。
城ヶ崎 隼人
あぁ、お前が夜桜か。俺はお前の担任の城ヶ崎隼人じょうがさき はやとだ。
夜桜 宇汰
...よろしくお願いします
…金髪でピアスバリバリ付けてるホストかぁ。担任がホストって親にどう説明すればいいんだよ。言わなきゃいいのか?でも人は見た目で決めつけちゃダメだ、ってじいちゃんに言われたからもうちょい様子を見よう。俺も金髪だから人のこと言えないけど。でも俺の金髪は染めた訳ではなく地毛だから。ここ大切。地毛だから!
城ヶ崎 隼人
早速だが、時間がねぇ。教室行くぞ。
夜桜 宇汰
わかりました...
夜桜 宇汰
あ、の...
城ヶ崎 隼人
なんだ
夜桜 宇汰
教材とかは、
城ヶ崎 隼人
あぁ、もう教室に置いてある
夜桜 宇汰
そう、ですか。
ありがとうございます。
城ヶ崎 隼人
ほら行くぞ
夜桜 宇汰
意外と良い教師だった。
階段上がっては下がり廊下を歩いては曲がり…を繰り返してたら教室着いた。
どうやら俺は2-A組らしい。
城ヶ崎 隼人
呼んだら入ってこいよ、自己紹介は短めにな
夜桜 宇汰
はい
チャラ男が先に行っちゃったや。なんか叫び声が聞こえる。キャーって。…あれ?ここって男子校だよな。なんで女子みたいな高音出せんの??
未知の男子校って怖ぇ。
城ヶ崎 隼人
入ってこい!
…呼ばれたや。
ガラガラガラ
クラスメイト
…え?!
クラスメイト
なにあのイケメンっ!
クラスメイト
前髪長っ!
クラスメイト
目がすげぇ綺麗!
クラスメイト
蒼?蒼い目なんて初めて見た!
クラスメイト
なんか、目、死んでねぇか??
生気がないって言うか。
クラスメイト
王道じゃない、だと?!
クラスメイト
金髪受けに…なるのか!!
問題のいとこ
…ッ!宇汰!
とてつもなく凄いことを言われた気がしたがほっておこう。そして俺は自己紹介した。
夜桜 宇汰
…初めまして、夜桜宇汰と言います。
よろしくお願いします。

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