真希たちと稽古をしていたら五条先生が現れた。
そういえば昨日の稽古後、明日は大事な話があるから起きたら部屋に来いといっていた。でもどうせ、任務を投げられるだけだろう。五条先生はいつも重要やら極秘やらいってるし。
たいした話ではないだろう。そう思っていた。次の五条先生の声を聞くまでは。
ということはつまり、その人たち訪れた先々で殺人現場に遭遇してるってこと? もしくは必ずと言って良いほど死人が出ると......
まあ確かに、私も日中死神連れてはいるけどさ......。私の死神は一般人は殺さないし。私だってまあまあ強いから死人もあんま出さないし。
私たちは五条先生を......いや、この際敬称も外そう。この顔と呪術師としての能力は最強のイケメンだが、性格はクソオブクソな五条悟に、私達二年生四人は軽蔑の目を向けた。
そういうと伊地知さんは車を出した。少し見送ると、道路へ背を向け、私は喫茶店へと足を運ぶ。
お腹が鳴ってしまった。だが仕方ないと思う。朝からなにも食べずに任務をこなした上、この喫茶店からすごく良い匂いがするのだ。
「カランコロン」
早く食べたい一心で、「喫茶ポアロ」のドアを開ける。と同時に、ベルが鳴り、微かにサンドイッチの匂いが鼻を霞める。ベルの音に気づいた男の定員がこちらを見る。
本当はテーブル席が良かったが、結構他のお客さんもいるようで、テーブル席は空いていなかった。
メニューを手にとり、一番人気とかいているサンドイッチを頼んだ。
私は、頼んだサンドイッチが持ってこられるまで、毛利小五郎についての資料を読んでいた。眠りの小五郎というのは、なんと本当に眠っているような格好で推理をするかららしい。一度見てみたいものである。
私は食べながら、毛利小五郎さんになんて挨拶するかを考えていた。
しばらく美味しくサンドイッチを頂いていたのだが、やはりあの男の定員が気になる。
ちらっと横目でその男の定員さんの方をみた。
一体この男性定員は何者なんだろうか。凄い数の呪霊に取り憑かれている。強さこそないものの、これだけ多くの人から恨まれたりすることは、そうあることではない。
ましてやただの喫茶定員なら、その可能性は極めて低いと言えるだろう。もし可能性があるなら、客への態度が悪くて、客や同僚から恨まれるぐらいだろうが、この人の接客態度は悪くない。むしろとても優秀だ。
それ以外に人に恨まれることがあるとすれば、昔学生時代などにいろんな人から恨みを買うようなことをしていたのだろう。人は見かけによらないと言うし。
いずれにせよ、流石にこれだけ憑いているのに放っておくことはできない。
そう言って死神は手から鎌を出した。
鎌で素早く呪霊達を切り裂き、あっという間に定員さんに憑いてた呪霊は消滅した。
定員さんはからだが軽くなっただろう。だが少し思ってた反応と違った。疲れがとれて嬉しそうな表情ではなかった。
四つ目のサンドイッチを食べる。だが先程のようにあまり美味しく感じられなかった。
視線を感じる。疑うような、警戒しているような、刺すような視線を。
あの男の定員から。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!