そらる先輩にたくあんをいただいて
喜びと恥ずかしさに侵食されていると
右横から視線を感じた。
不自然な先輩に違和感を感じて
先輩のお皿を見ると
漬け物がたくさん残っていた。
慌てるうらた先輩と
吹き出すそらる先輩。
私は全く訳が分からず首をかしげる。
そう言って恥ずかしそうに
そっぽを向くうらた先輩。
私とそらる先輩の話を聞いて
とって置いてくれたの、かな…?
ご厚意に沿って箸を持とうとしたら
うらた先輩がしれっと
私の口に漬け物を添えていて
ま、またあーんなの…⁉︎
私に好意がないと分かっているのに
ドキドキするからやめて欲しい…‼︎
と思いつつ、口を開いていただいた。
漬け物の美味しさによって
幸せに満ちあふれた私は
満面の笑みをうらた先輩に向ける。
すると
なぜか耳まで赤くなったうらた先輩と
更にまた吹き出すそらる先輩。
私の頭ははてなだった。
ご飯も1段落して
うらた先輩がマイクを手に取る。
さあ、ここからはサプライズだ。
うらた先輩と天月君は慌てている。
そんな2人をよそに
さかたんが電気を消し、
まふ君がケーキを持って来る。
皆笑顔を浮かべ、大声で歌う。
本人達は予想外だったらしく
ぽかんとしている。
電気をつけて、
私達が拍手をする合間も
2人はしきりに顔を見合わせて
驚いた様子だ。
2人とも予想通りに驚いてくれ、
予想以上に喜んでくれて
私達の輪は笑顔で満たされている。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。