転校初日の学校が終わった。
友達ができた。
とても楽しい1日だった。
これからの学校生活に、
期待をしても……いいのだろうか。
ぼーっとしていると
坂田君に話しかけられる。
鞄を持ち、立ち上がる。
すると隣からまふ君が
なぜか少し寂しげなまふ君に
手を振り、坂田君と教室を出た。
校門を出て、坂田君と並んで歩く。
こんな私が坂田君と並んで帰っても
いいのだろうか。
隣を歩く坂田君をちらりと見ると
赤い髪が風で少し揺れていた。
歩いていると
なんかお母さんみたいな質問だな…。
白い歯を見せて笑う坂田君。
本当に感謝している。
私は折角転校したのに
自分から話しかけられなかった。
また同じような日々になるんじゃないかって
ビクビクしてた。
申し訳ないけど
坂田君の話をかき消すようにして
別れを告げた。
少し驚きながらも坂田君は
笑顔で手を振ってくれた。
前の学校での話は避けたかった。
こうして長かった1日が終わった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!