ホームルームが終わり、休み時間。
漫画やドラマのように席の周りに
たくさんの人が………
なんてことはなかった。
人見知りで安心したけれど、
話しかけられないなら
それはそれで友達が作れなくて困る。
自分から話しかけてみようかな…。
でもやっぱり怖いな…。
色々考えていると
前の席の男の子が勢いよく振り返った。
赤髪でアホ毛がぴょこぴょこしている彼は
坂田君と言うらしい。
元気いっぱいに話しかけられ、
少し驚く。
思わず反射的に本音を口にしてしまって
焦っていたら、
坂田君が当たり前のように言った。
白い歯を見せてにかっと笑う坂田君。
笑顔がキラキラしている。
タメ口で家族以外と話すのはいつぶりか。
新しい学校での最初の友達ができた!
それから坂田君と少し談笑をしていたら
チャイムが鳴り、授業が始まった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。