第62話

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2020/01/10 07:56
センラ君と教室に寄ってから

食堂に向かった。

私の目に泣いた跡が見られたからか

着くなり皆がとてつもなく心配してくれた。


私とセンラ君はそれぞれ事情を話した。

センラ君はあの告白を聞いていたらしい。

そこから気にしてくれていたとか。

改めてセンラ君の優しさが

心に染みわたる。


皆は私が迷惑をかけたことを怒るどころか

優しくしてくれた。

皆の1つ1つの言葉が心に響いた。

涙はいつのまにかひっこみ、

笑顔になっていた。


ストーカー事件の話が終わると

昼休みはあと10分。

皆クラスへと帰っていった。


放課後。

坂田君は補習なので

3人で部活に向かう。
まふまふ
まふまふ
さかたん大丈夫かなぁ。
センラ
センラ
いつもなんだかんだで
補習は乗り越えてるから
大丈夫やろ。
(なまえ)
あなた
頑張ってたから!
少し心配をしつつも

2人から坂田君の珍解答を

聞いて笑いながら部室に向かった。


今日は天月君との合奏だ。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
じゃあ、君に届けから
やりましょう!
先輩がいても堂々と仕切る天月君。

さすが、慣れてるなぁ…。


天月君とアイコンタクトすると

カウントを取る。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
君に 会えたこと
本当に よかったと
そう言える その笑顔を 守りたい
天月君が歌うのは

2曲とも淡いラブソング。

天月君にぴったりだと思う。


それにしても君に届け、すごく

耳にスッと入ってくる。

まるで私に向けた言葉みたいに。

天月君の表現力の高さだろうか。


2曲とも一旦通し、休憩に。

志麻先輩もセンラ君も

ペットボトルを飲み干している。

暑い中での楽器演奏も

中々ハードなものだ。
志麻
志麻
それにしてもあなた、
坂田に勉強教えたり
色々大変やったのに
すごい完成度やな。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
そう!本当、すごいよね。
センラ
センラ
この完成度を
この曲数こなすのは
かなりしんどいやろ。
それが分かるから
余計に尊敬するわ。
3人から褒められて嬉しい反面困る。

そういうことを言われると

つい調子に乗ってしまう。

落ち着いて返さないと…。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
そう言えばあなたちゃん
ソロの方はどんな感じ?
俺、地味に聴いたこと
ないんだけど。
天月君から何か私1人に

言われたのは初めてだった。

目が真剣だった。
(なまえ)
あなた
うーん、ベースボーカルが
大変だけどなんとかなってる…かな。
志麻
志麻
いやあ。あなた、上達早すぎて
怖いくらいやって。
そもそも簡単めとは言え
始めてすぐボーカルと
兼任できるってやばくないか?
(なまえ)
あなた
そ、そうですか…?
一応家で練習してますから…。
センラ
センラ
俺、うらたんから
ギター習ってんねんけど…
ボーカルと兼任は
まだまだやなぁ。
(なまえ)
あなた
そうなんだ。
センラ君のギターボーカル、
楽しみにしてるね。
しばらくして練習を再開した。


片付けの時間になると

志麻先輩とセンラ君が先に行ってしまい、

私も追いかけようとした時。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
あの…あなたちゃん。
(なまえ)
あなた
ん?どうしたの、天月君。
天月-あまつき-
天月-あまつき-
今日、一緒に帰らない?
(なまえ)
あなた
うん、いいよ。
天月君はいつになく

真剣な目だった。

そう言えば2人きりで

何かするのは初めてだ。


いつもと少し違う天月君に

驚きながらも

一緒に帰るのは楽しみだった。

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