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第40話

緑 俺のノート。
まさかまた会えるとは思っていなかった。

きっと"君"は俺のことなんて、

全く記憶にないだろうけど…。



俺はうらたぬき。

自分で言うのも何だが

しっかり者の高校3年生。

部長となった部活の仲間達と

学校生活をエンジョイしていた。


学生時代の青春?

俺には縁遠い話だと思う。

断然、恋愛より友情派だ。

興味がないと言えば嘘になるけれど

そんな機会もないし、

今の環境に十分満足していた。


ただ、そんな俺にも

1度だけ胸がときめくような

想いをしたことがある。


あれは、俺がまだ中学2年生だった頃。

俺の父さんは大学の講師。

そこそこ偏差値の高い、

この辺の地域では有名な大学。


俺は時々父さんが勤めている

大学に行っていた。

講義のない空き時間に

勉強を教えてもらうためだ。


頭の良い父さんだけど

どこか抜けていて物忘れが多く、

忘れ物を届けることもあった。
うらたぬき
うらたぬき
(中学2年生のうらたぬき)
父さん、また忘れ物って…。
この日もまた、父さんの忘れ物を

届けに大学に来ていた。

何度も来ているから

すっかり慣れた足取りで

父さんがいるはずの準備室に向かう。


ドアの前に着くと軽くノックする。

返事を待たずにドアを開けると

父さんは誰かと話していた。
うらたぬき
うらたぬき
あっ。
父さんとアイコンタクトし、

とりあえず部屋の外に出る。


しばらく待つか…。

廊下の窓側の壁にもたれかかる。


ふと廊下を見渡すと

俺から少し離れたところにある

ベンチに1人の女の子が座っていた。


俺より少し年下くらいだろうか…。

肩までくらいに切りそろえられたセミロング。

とても整った顔をしていて

思わず目を惹かれた。


彼女は読書をしていた。

窓からのそよ風で綺麗な黒髪が揺れる。


俺はしばらくの間彼女を見つめ続けた。

自分で見つめすぎていたことに気づき、

慌てて窓の外に目を移した。


ボーッと窓の外を見ていたら

ドアが開く音がして振り返る。

父さんが話し終えて出てきたようだ。


父さんの話し相手はさっきの

"彼女"のところへ歩いていく。

親子なのか…?

よく顔は見えなかったが凛とした女性だった。

うらた父「待たせたな。」
うらたぬき
うらたぬき
ん。大丈夫。
父さんこれ、忘れ物。
うらた父「おお!ありがとう。
毎度毎度すまんなぁ。」
うらたぬき
うらたぬき
いいよ、勉強教えてもらってるし。
ところで父さん、
話してた人は誰なの?
うらた父「あの人か?彼女は桜坂先生だ。
ほぼ同期の同僚だよ。綺麗な人だろう?」
うらたぬき
うらたぬき
う、うん。そうだな。
うらた父「娘さんがいたと聞いてはいたんだが
お前と年が近そうだな。
今日は勉強していくか?」
うらたぬき
うらたぬき
いや。今日は帰るよ。
うらた父「そうか。気をつけて帰るんだぞ。」

父さんに適当に手を振り、

大学を出る。


家に帰ってもあの"彼女"のことが

頭から離れない。

父さんの同僚の娘…。


また会えるかもしれない。


大学に行くのが少し楽しみになった。