朝食が済み、着替えて下の階へ降りる。
同室のまふ君を含め、
私以外の部員全員がロビーで待っていた。
私の登場によって広がりかけた
話の輪をまふ君が制し、
皆手荷物を持って立ち上がる。
部長副部長を先頭に
海に向かって歩く。
今日は皆で海で遊ぶことになっている。
練習を置いて一旦息抜き。
"あの方"の全面協力で水着まで
完璧に用意されていた。
正直遊びに行くようなものを
持ってなかった私としては助かった。
ただ布地が少ないことを除いて。
おそらく高校生ともなれば
これくらい普通なのだろうが
私はこういうものにめっぽう疎く。
露出狂じゃん…と思いつつ
着てみれば案の定。
用意して来たジャージを慌てて上下着た。
水着的な意味でも
その他色々と女子1人と言うのは厳しい。
誰も私のことなんて
意識してないだろうけど
初めて露出の多い水着を着て、
尚且つ一緒に遊ぶのが全員男子。
皆がしてなくても私は意識する。
…あんまり体に自信ないし。
先輩達の後ろで荷物持ちをしてた
センラ君が見えて来た
鮮やかな青を見て声を上げた。
うらた先輩の声につられて
まふ君は作業を手伝いに行った。
まふ君がいなくなったタイミングで
サッとそらる先輩が話しかけて来た。
水着以外の問題。
そう。
私は……カナヅチなのだ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。