第81話
59ページ目。 赤細マーカー。
夏休み前にかけて
昼休みや放課後の
体育祭実行委員の集会に
行くのに坂田君との行動が増えた。
一緒にいる時間が長くなったから
前より距離が縮まった気がする。
今は放課後。
集会はないけど
資料をまとめるのに
坂田君と2人で教室に残っている。
開始から1時間。
坂田君がすっかり飽きてしまった。
必死に励ましても
机に伸びてうなだれっぱなしだ。
本当はまだ半分くらいあるんだけど…。
大変なことじゃなければいいけど……。
坂田君のお願いは予想外のものだった。
坂田君は目を赤くしてまつげを伏せ、
少し恥ずかしそうに笑った。
いつもとは違う、照れ笑い。
かわいい…。
呼び方とか気にしたことなかった。
特別感、か……。
面と向かって意識して呼ぶの、
なんか恥ずかしい……。
一息ついて呼んでみる。
すると坂田く…さかたんは
嬉しそうにニコニコして
と返事した。
心の奥がくすぐったさを感じたが、
さかたんが満足そうなので
いいかなと思えた。
私達は再び手を動かし始めた。