私は冷静に分析した。
思ったままを先輩に伝える。
先輩達目線の考えは坂田君がいいらしい。
坂田君に教える、ということで
話がまとまり
志麻先輩は練習に戻っていった。
私は結局何をすればいいのか。
うらた先輩の方に向き直る。
先輩は本当に困っていたみたいで
凄く低姿勢でお願いしてきた。
そうか…。
私がドラムができると言った時、
志麻先輩とそらる先輩とまふ君が
あんなに嬉しそうだったのは
ドラム不足だったから…。
断れない。
断る気ないけど。
こんなに頼られた事は今までなかった。
それに私自身、
初めての部活に張り切っている。
入ったばかりで
この頼み事から察する練習量は
大変な気がする。
でも頑張るしかない…!
期待に応えたい…!
うらた先輩に明るく答えた。
先輩は少し動きを止めた後、
嬉しそうに笑う。
うらた先輩と話し終えて
2人同時に時計を見る。
練習時間はあと15分。
楽器を出して練習し始めるには
時間が足りない。
目的が決まったらしく、
私に後ろについてくるように
テンション高めに手を振るうらた先輩。
私は全く訳が分かっていないけれど
先輩の後ろに置いていかれぬように
ついて行った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!