第66話
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7時間目。
体育館に生徒達がぞろぞろ
入ってくる。
女子の中には部員の名前が書かれた
応援うちわまで持っている人もいた。
ブー
放送委員にうらた先輩が合図をして
ブザーが鳴ると同時に
幕が上がっていく。
セッティング済みのステージに立ち、
うらた先輩が挨拶をする。
うらた先輩が手を振ると歓声が上がる。
まずはAfter the Rainの演奏から。
まふ君、そらる先輩、天月君と共に
ステージに出る。
私はドラムだからインカム式のマイクで
お客さんに挨拶する。
私が言い終わるなり、お客さん達から
歓声が上がる。
まふ君とそらるさんが
MCをしている間に
天月君はうらた先輩にギターを渡し、
バック3人は準備を整える。
まふ君が私に目線を送る。
私は腕を真上に上げてカウントを取る。
今回のライブのスタートを飾るのは
まふ君のオリジナルソロ曲、
サクリファイス。
激しめの曲で、
そらる先輩とうらた先輩のWギターと
まふ君のベースの3つの弦の音が
会場に響き渡る。
サビに入り、私達も
お客さん達も盛り上がる。
痺れるような高音。
まふ君にしか出せない声が
お客さん達を撃ち抜く。
まふ君は白髪を汗で少し乱しながら
お客さんに手を振る。
そしてそらる先輩にMCを引き渡す。
そらる先輩が話し終えて私を見る。
次はそらる先輩のオリジナルソロ曲、
アイフェイクミー。
前奏は高く鳴らすギターと
細かいキーボード、激しいドラム。
私はひとフレーズ叩き終えて
短い休みでスティックを
クルクルと回して余裕を見せる。
さっきまでの緊張は
どこかへ飛んでいき、
すっかり楽しんでいた。
そらる先輩はギターを後ろに回して
スタンドマイクを掴み、
透明感のある高音を響かせる。
お客さんもノリながら
先輩の歌声にうっとりする。
そらる先輩は歌い終わると
お辞儀をしてまふ君の方を向く。
少しMCで話した後、
2人は目線を交わして
会場に向かって叫んだ。
2人のコールでスタートしたのは
有名ボカロ曲、ヒバナ。
この曲もそうだが、
今回のAtRのセトリは
激しさとバンドらしさが目立つ曲が多い。
つまりドラムはとても大変。
だけど会場と共に私の熱も上がっていく。
2人の全く違うけど
相性のいい高音が響く。
2番では流暢な英語を聴かせた。
3曲演奏し終えて2人がお辞儀をすると
大きな歓声が上がった。