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第43話

緑 俺のノート。
父さんに勉強を教えてもらって家に帰る。


俺は恋に気づいた日から

大学に行くことがほとんどなくなった。

自分から行くのを避けた訳ではない。

もうじき中学3年、受験生だからと

塾に行くことになったのだ。

父さんから教えてもらうだけでは

時間が足りないから。


当然、彼女と会う機会もなくなった。

大学に行っても必ず会える訳でもない。

長い時間大学にいないから

見つけても何もできない。


高校に入学すると大学に行くことは

全くと言っていいほどなくなった。

父さんとの話によると彼女の母親も

別の大学に移ったらしい。


俺の記憶に残ったのは

彼女のあの綺麗な笑顔と声、

桜坂という名字。

俺から彼女への淡い気持ち。


もう会うことなんて、ないと思っていた。

運命ってあるのかな。

"彼女"は俺の前に姿を現した。


高3になってしばらくした時に

同じ高校に転校してきて、

同じ部活に入ろうとしてくれている。


"君"が初めて部室に入って来た時、

俺はまーしぃとは違う驚きだった。

まさかまた、会えるなんて。


嬉しかった。

当時俺がマスクをしていたからか

俺に気づかなかったけど。

いや、普通1度しか

話したことない奴なんて覚えてないよな。

名乗ってすらないんだし。


最後に会ってから3年も経つのに
(なまえ)
あなた
うらた先輩!
入部届提出したので
明日から正式に入部します。
"君"の綺麗な声で、そんな笑顔で

名前を呼ばれたら

心に閉まっていた気持ちが蘇ってくる。
うらたぬき
うらたぬき
おお!早いな。
改めてよろしくな、あなた。
(なまえ)
あなた
はい!よろしくお願いします!
平静を装って君の名前を呼んで、接して。

あくまで初めて会った部長としている。

少し複雑だ。


でも。

あなたと説明のために長く話したり。

朝練の作業中、2人きりになったり。

とても楽しくて、嬉しい。


せっかくまた会えたんだから

今度こそ"君"を知って、

君にも俺を知ってもらいたい。


あの頃の気持ちが嘘じゃなかったと。

一瞬の気持ちなんかじゃなかったと。

証明したい。



今日はあなたの荷物を運ぶのに

家にお邪魔する。

最後の荷物を運ぼうとした時。

落としたペンを拾って

あなたが立ち上がった拍子に

ダンボールの箱の山が崩れる。
うらたぬき
うらたぬき
あなたっ!
俺は咄嗟に走って行って

強く腕を引く。


ガダガタガタッ‼︎


なんとか無事だったようだ。

あなたは目を見開いて驚いている。
(なまえ)
あなた
うらた、先輩…。
うらたぬき
うらたぬき
だ、大丈夫か⁉︎
怪我、ないか⁉︎
あなたは俺の胸に顔をうずめている状態。

するとあなたは顔を上げて
(なまえ)
あなた
大丈夫、です…。
ありがとうございます…!
上目遣いで少し力なく、笑う。

弱々しい表情をしたその顔に目を奪われる。

無意識にあなたの頭に手を乗せていた。


ずっとこのままが…いいな。

俺がボーっとしていると

あなたが不思議そうな顔で俺を呼ぶ。
(なまえ)
あなた
先輩…?
うらたぬき
うらたぬき
あ、えっと…その……悪い!
何でもないから!
崩れちゃった箱、元に戻そうぜ!
俺は焦って手を離した後、平静を装う。

内心は心臓バクバク。


あなたを守れたことに

優越感を感じつつ、

もっとあなたと近づきたいという

思いを落ち着かせた。