第50話
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テストが返された日の放課後。
先輩達には事情を話すと
あっさり了承してくれた。
私は坂田君と教室からそのまま
図書室へと向かう。
坂田君が私の言葉を聞いて
眉間にシワを寄せたことに気づきつつも
知らないフリをして図書室に入る。
入口側の席をゲット。
先程から少し私のテンションが
高く思えるのは勉強が好きだから。
家で長い時間勉強しないといけない時もあるけど
新しいことを知る、学ぶのは
楽しく感じるので決して苦ではない。
教えることは得意ではないけど、
坂田君の成績がかかっているのならば
全力で頑張らないと…!
そんな意気込みも含めてこのテンションだ。
私は古文の参考書と教科書を手に取り、
坂田君に説明し始める。
しばらくして……。
あらかた文法事項を教えて
問題演習をしていると
段々と正解率が上がってきた。
分かってきたからか
坂田君も楽しそう。
休憩を提案すると
坂田君はものすごい勢いで立ち上がり、
廊下へ走って行った。
私はさっきまで座っていた席に戻って
ワークを広げる。
やる範囲を決めて取り掛かろうとした時。
⁇?「あの、桜坂さん!」
顔を上げるとそこにいたのは
クラスメイトの高橋君だった。
高橋「えっ。僕のこと知っててくれたんですか?」
私が少し微笑むと
高橋君は分かりやすく赤くなる。
…何だろう。
この違和感……。
高橋「桜坂さんっ!あの…その……。」
高橋君が口ごもる。
高橋「僕、桜坂さんのことが好きですっ!
付き合ってくれませんかっ!」
突然の言葉に驚く。
これって…告白、だよね……。
私は何度か告白をされたことがある。
その度にお断りしてきた。
…本当に私のことを見てた人なんて、
1人もいなかったから。
毎度どうして、私のどこが
好きなのか聞いても
うわべだけの回答しか返ってこなかった。
お断りしたら逆上してくる人もいた。
中学から地味にしていたから
あまりされることもなくなったけど。