第33話
24ページ目。
うらた先輩についていった先は楽器室。
私の楽器を決めるらしい…?
仮入部1日目の楽器体験の時。
弦楽器自体に
興味があったのもあるけれど、
ギターとベースの体験は
キーボードとは違った楽しさを感じた。
ベースを選んだのは
ギターもベースも
同じくらいやりたいけど、
今の軽音部に必要なのは
ベースだと思うから。
色々頼み事を受けて
練習量はかなりあるはずだから
断られる覚悟で言ってみた。
ところが、
うらた先輩はむしろ嬉しそうに
了承してくれた。
ひ、人前で歌うことを考えてなかった…!
ソロってことは
私1人の生歌。
だ、大丈夫かな……。
私のパートは
ベース、キーボード、ドラム兼ボーカルとなった。
次は私が使う楽器の話。
うらた先輩は私に説明しつつ
ぶつぶつと独り言を呟きながら
楽器室の楽器置き場をうろうろする。
自分の楽器…。
実は私の家にはたくさん楽器がある。
私のお父さんは音楽大学の教授で、
自らが演奏するための
楽器はもちろん、
新入生に貸し出したりする用や
コレクション用の楽器が
楽器部屋と称して
家の中の3部屋を占めている程。
お父さんは基本クラシック専門だが、
楽器部屋にバンド楽器もあったはずだ。
訳を話せば譲ってくれるだろう。
今晩にでも頼んでみるかな…。
先輩から有難い言葉をもらい、
2人で部室に戻る。
うらた先輩とよく話をした朝練習だった。