いつの間にか花火はおわっており、徠と律音は帰宅した。
祭り会場でも手を握ったように今度は指を絡ませる。
徠は顔を俯き、律音に手を引かれた。
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ポツポツと歩く人影。
あれから2人は何も話してなかった。
徠は律音の背中を見つめ家へと入った―
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"オレと付き合ってください!"
頭の中でグルグルと律音が徠に言っていた言葉が、現実を告げる。
2人は両想いだった。
それは微笑ましい事だが、叶愛の心は癒えてなかった。
自分にそう言い聞かせる。
佐々木もだろーと呑気な事を言う紅華。
徠と律音に気づかれないよう思い出の地を後にする。
"私は貴方に絡みつきます"
そこまで考えると笑えてきた。
地に着き、2人は帰路につく。
絡みなくない、というのは本当の事だ。
アサガオのつるのようにどこまでも―――
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!