律音が転校生してきて2週間経った。
律音の周りは男女構わずワイワイと賑わっていた。
叶愛は律音の邪魔にならないように徠の席へと移動してきた。
大会で痛めた後、徠は毎日のように心配してくれた。
頑張ってと呟いたと同時にチャイムが鳴り、各自席へと座った。
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コンコン――
思わず瞼を閉じそうになった時、不意に机の音が聞こえた。
音が聞こえる方へ視線を向けると、律音が苦笑いしてこちらを見ていた。
眠気を振り払うように小声で律音に問いかける。
律音の手から変わり果てたシャーペンが現れた。
どうしたら壊れるのだろうと思いつつ、叶愛は筆箱からシャーペンを取り出す。
太陽に照らされた律音が眩しく見えた。
自分も徠や律音みたいに笑いたいと思っても2人みたいに笑えなくて、叶愛は戸惑うばかりだった。
叶愛はふとそう思った。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。