第26話

Story25
48
2018/08/30 22:07
叶愛
好きなの。月島の事が。
律音
え、は、はぁ?
ちょっと待て。それ本気(マジ)か?
叶愛
私はそんな冗談言わない。本気よ。
律音
ありがと。
―――――だけどオレ、好きな人いるからオマエの気持ちは受け取れない。
疑う律音だが、叶愛の顔を伺うと顔が赤く染まっていた。
叶愛
知ってる。
律音
は?
叶愛
知ってるよ。月島が私じゃなくて徠のことが好きだって事を。
叶愛は目を細めてそう言った。
律音
なんで...
叶愛
見てたから。ずっと。
叶愛
徠の事は誰よりも知ってる。
好きな人の表情だって見れば分かる。
律音
......
叶愛
だけど月島に想いを告げたらだいぶスッキリした
律音
スッキリ?
叶愛
まだ徠には言ってないけど私、来年お見合いする事になってるの。
律音
は?
叶愛
というか前々から決まっていた事だからね。私は親の跡を継がなきゃいけないの。まぁ、言いなりかな?自由な恋愛なんて許されなかったし。
叶愛
昔は不自由なんてなかったし、別にいいかなぁって思った。だけど―
叶愛
月島と出会ってから違うって思えた。
律音
オレと?
叶愛
うん。私ね今まで徠以外に優しくされた事ないの。みんな優しいけどそんなの社交辞令みたいなものだったから、自然の優しさなんて触れたことがなかった。
叶愛
月島は普通に接してくれたから嬉しかった。
叶愛
他の人から感じられない温もりが月島にあった。こんな気持ちは初めてだったの。
律音
叶愛...。
叶愛
だからありがと。
そして頑張って
律音
あぁ。
お見合いは本当にするのか?
叶愛
するよ。そしてそこに嫁ぐ。
月島に想いを告げられたし、もう後悔はない。
律音
そっか...。
悪いな。叶愛の気持ちを応えられなくて。
叶愛
いーよ。
徠と結ばれるといいね。
律音
そう言ってもらえると、ちょっと頑張れる気がするよ。
律音はベンチから立ち上がった。
律音
遅いし送るよ。
叶愛
別にいいよ。
律音
いや。最後だけ、オマエに応えられなかった分を...
叶愛
...分かった。
最後までリードしろよ"律音さん"?
律音
...!!
あぁ、仰せのままに...

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