無言。聞こえるのは、他のプレイヤーの扉やチェストを開ける音や、私たちの歩く音だけ。
近づいたら話すタイプじゃないので、アクションは、殴るかしゃがむかジャンプするかの三択しかない。
でも、今の私たちはそれもなしに、ただ本館2階の隅で脱出可能になるまで待っているだけ。
そんなことを言いながら待っていると、段々と人が集まってくる。
らっだぁの配信を見ていないので、あいつがどこにいるかは分からない。
大人しく待っていると、べいちゃんもやって来た。
きょーさんは、すぐにべいちゃんの所まで歩いていき、ペコペコとお辞儀している。
なんということでしょう!私めっっちゃ頭いい!!
思い立ったが吉日なので、私はべいちゃんの前まで行くと、サボテンをちょっと斜め下でポコポコと殴るモーションをする。
べいちゃんが持っていたのはスライム。きょーさんもサボテンを持ってくれたので、きょーさん
を殴ってから、ポイッとサボテンを投げる。
べいちゃんと脱出できれば、きょーさんもとっても喜ぶと思ったのに……
邪魔するなの意味を込めて、一発きょーさんを殴っておく。
べいちゃんは「え?え!?」という反応をするが、私は気にせずサボテンをもう一度持ってべいちゃんに詰め寄る。
そんなことをしていると、視界を青い何かが通り過ぎ、視界をそちらにやればらっだぁがいた。
次に聞こえてきたのは、人が倒れる音だった。
らっだぁが来た方を見れば、そこには青鬼が集まった人を次々に倒していた。
左右に動いて攻撃を避けるが、逃げきれずに追い詰められてしまう。
倒されてしまい、すぐにらっだぁの配信画面を開いて見れば、らっだぁは逃げきれたようで、相方さんと一緒にいた。
コメント欄を見るに、どうやら意図的にあの部屋にいた人に青鬼を擦り付けたらしい。
ああダメだ。らっだぁ達といたら、自然と沸点が低くなる。
だけど、それ以上に楽しい。
↓↓↓以下運営↓↓↓
アプリを閉じ、パソコンもシャットダウンする。
部屋は普通の部屋に戻り、さっきまでの賑やかさはなくなる。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!