私は鬼の子
私は産まれてはいけなかった子
私は独りぼっち
人間じゃない
だから、みんなから蔑んだ目で見られてきた
「怖い」
「近づくな」
「呪われる」
「殺してやる」
私は、みんなに近づくことすら許されなかった
私は、人間が最も恐れてきた力を持っているらしい
これは、絶対に阻止しなければいけないことだという
だから、私は、牢獄に閉じ込められている
暗い地下の奥深くで……
話し相手もいない
食べ物も少ない
暗い
寂しい
誰かに愛されたい
手首には鎖、足には鉄球の重りが着いているから動けない
外に出て、青い空を仰ぎたい
川で友達と遊びたい
お母さんの作ったおいしいご飯が食べたい
しかし、私には夢を見ることしか許されなかったんだ
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!