その夜、案の定仕事が押した俺は、約束の時間には間に合わず、大ちゃんだけ先に行っていた。
合コンなんて、全く気乗りしなくて、仕事の延長のつもりでいた。
指定された居酒屋には、約束の時間を1時間ほど遅れて到着した。
通された個室には、大ちゃんと女の人が二人。
大ちゃんの向かいに座る女の人は、大ちゃんのどストライクな感じ。今風な?
その横に座る女の人は、ずっとうつむいてて顔が見えん。
大ちゃんとそのリカちゃんと言う子は、すっかり打ち解けている。
いきなり話を振ったからか、飲んでたものでむせている。
手元にあったお手拭きを彼女に渡す。
ずっとうつむいてて、話さないから暗い人なのかと思ったけど、話かけたら普通に話してくれる。
しかも笑顔が可愛いじゃんか。
その合コンと名の会は、日付が変わるまで続いた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!