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第1話

きゅうくらりん
197
2023/02/24 10:40

慧side

 五月蝿く鳴いた目覚ましを止めた。

 8時過ぎの匂い。

 ふと鏡を見る

 しらけた顔変わってなくて良かった。

 家を出ると山田が待っていた。

 慧「山田っ!おまたせ!」

 涼介「おぉ!行こっか」

 慧「うんっ」

 仕事場に着くと山田は知念の所に行った。

 言っちゃいけないけど嫉妬する。

 植木鉢のぐちょぐちょした土の様な感情

 こんな自分が愚かしい…

 あぁ化石になっちまうよ

 でも取り繕ってないとな

 山田の前ではちゃんと笑わなきゃね

 大した取り柄も無いから

 山田が居ないと空っぽが埋まらない事

 全部ばれてたらどうしよう

 席座る時はいつも山田の右隣





 





 “私きゅうくらりん”












 例えば今夜眠って目覚めた時に

 山田から連絡来てなかったらどうする?

 起きる理由がひとつも見つからなくて

 朝起きたら俺はどうする?


 五月蝿く鳴いた文字盤を見てた

 そこには山田からの告白のメッセージだった

 …え?

 1歩後退り 「また明日」とぽつり

 俺の事嫌ってなかったんだ…

 喜びより安堵が先に来てしまった

 窓から西日を見る

 思い出を振り返りながら

 そこに映る細かなヒビが

 こんなにも恐ろしい



 あぁ山田を知るのが怖い

 その為にも取り繕ってなきゃな

 ちゃんと笑わなきゃね

 山田との大切が壊れちゃうから

 幸せな恋人関係を願うけど

 別れた時の底なしの孤独をどうしよう

 もう呻き声しか出ない









 “私ぎゅうくらりん”









 帰り道虹が掛かってた

 綺麗と思えなかった

 俺にはこの恋は早かったのかな、

 もう別にどうでもいい…









 良くない









 良くないよ…










 断ろう










 断らなきゃ山田が可哀想だ










 もうどうしようもない

 山田のことは好きだ、大好きだ

 けどもう、










 “わたしきゅうくらりん”




 




 次の日

 
 慧「山田、」

 涼介「ん、?」

 慧「ごめんなさいっ、」

 涼介「え、?」

 慧「山田は、俺よりもっといい人が見つかるはずだよ、!ね?俺なんかわすれてさ、!」

 涼介「そ、そんな事無いよっ?」

 慧「そう言うことだからもう行くね」

 涼介「ちょっ、」







 

 あぁ呪いになっちまうよな(笑)

 諦めたって思わなくちゃな、

 頭の中でノイズが鳴り止まないから

 断ったけど空っぽが埋まらない事

 全部バレてたらどうしよう

 あぁ、もう終わりなんだな











 

 あぁ幸せになっちまうよ

 あぁ失うのが辛いな

 全部ムダになったら

 愛した罰を受けるから

 酷く優しかった山田の胸で泣けたならどうしよう

 








 最後に見たのはそんな夢











 私









 ちゅうぶらりん















 

 


 山田side

 
 なぁ、慧っ、

 なんで俺を振ったの?

 お前俺の事好きだったんだろ?

 知ってたよ、

 両想いって事知ったら俺、嬉しかったもん

 なのに、なんで俺を振ったの?

 俺に似合う人はお前だけなのに、

 しかもなんで、、









 自殺









 なんてしたんだよ、

 そんな末路を手繰り寄せなくたって良かったじゃん…


 もう俺、やだよ…











 終___











きゅうくらりん/いよわ様



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