明るい。強い。眩しい。
それでも私は目を細めながら、光が指す方向に顔を向ける。
綺麗だな…、とか思ったり。
吸い寄せられる。目を無意識に奪われる。
あれほど明るい星を私は今まで見たことが無かった。
何か偽物とかアニメとか、そういう世界みたいに1つだけ明らかに存在が浮き立っていた。
「っ、泣いちゃ駄目。」
星からの強い光が熱い。
夏に浴びる昼過ぎの太陽みたいに熱い。
ちょっとだけ拭いきれなかった涙も、
瞬く間にスッと弾けて消えていく。
部屋の重い空気も青白い光に吸われていく。
私はワタシでいいの。
本音はずっと、普通を壊すくらいの存在でいたいの。
そして誰かの涙を拭えるような人になりたいの。
___私がいつか死んだら…、あの星になりたい。
いつかの私は、冬空に浮かぶそれに手を伸ばして想った。
でも──、
今、あの夜を思い出しても。
人は変わるから。不変なんて無いから。
世界も静かに動いて征くから。
そして、それは……。
“あの星”にも言えることだから。
いつかの日の冬空に存在した私の好きだった星は…。
夏の蝉が五月蝿く響き渡る頃の新事実で誰もが、
“美しくて素敵な星”という概念を消し去った。
『昨夜、現地時間午後9時42分、ニュージーランド近海の島の上空でシャエシェラト惑星群が爆発した模様。』
『日の出と共に爆発したと見られる周辺の海に救助隊が捜索したところ……。』
“あるはずの島がどれだけ捜しても無かった、というのです。”
星の爆発…?
バイトから帰ってきた私は静かな部屋に不安を覚えてテレビを意味もなくつけた。
そこに映ったのが、……このニュースだった。
島が…、丸ごと消えた…?
あり得ないような単語が頭を占領して離れない。
私はそのまま、目蓋を瞑って夢に逃げようとした。
現実を私はまた、受け止めたく無かった。
そして、私が視たのは──。
瞬間、脳裏に未来を詠う様に濃紺が広がった。
そして爆発が轟音となって秒を刻む間に視界がシャウトする。
何も痛くない。
鼓膜が爆音によって破壊されたのかと疑う程に、
反って何も聞こえない。
オレンジっぽい、青っぽい、白っぽい明度100にしたかの様な光が視界を奪う。
確かな存在をこの何も無い世界故、証明など出来ない。
この奇妙な現実めいた夢を───、
私は晩夏、見ることになるのだろうか?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。