第7話

六話 三年視点 前編
1,363
2022/08/06 13:53
学校に行き、授業が始まる。トレイン先生の授業を受けているが、話が長くて眠くなりそうだ。
そんな時、フワッと白い何かが廊下を通った。
ゴーストかと思ったが改めて見ると、廊下を一人の女性が歩いていた。
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
(何で女の人いんの!?白いってか……透き通った氷みたいな色合いしてるけど、ゴースト、ではないよね?
だって、うちの学校に居る女の子のゴーストは一人しか居ないし……)
※詳しくはゲーム内のケイトのストーリーで
津雪 憐覇
津雪 憐覇
────────
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
(誰かと喋ってる?でも目線が下だし……足元に何かいるの?)
気になったが、トレイン先生から「ケイト・ダイヤモンド。余所見をするな」と注意され、ハッと我に返る。正面を向いて、「すみませーん」と軽く謝って置いた。
ケイト・ダイヤモンド
ケイト・ダイヤモンド
(でも、気になるなぁ……さっきの人)
────────植物園にて。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
(次は体力育成かよ。チッ。だりぃな。着替えたはいいが、まだ時間もあるし少し寝るか)
次は体力育成の授業だが、最初の授業が早めに終わって時間に余裕があったので服を着替えてから植物園へ行く。ここなら人もいないし、寝られる。
そう思って横になり、目を瞑ったはいいが……人の話し声が聞こえた。
ルリオ
ルリオ
こんな場所もあるのか
シロ
シロ
色んな植物があるね!見たことない植物もあるよー!ん?誰か人がいる
柿助
柿助
でも寝てるみたいだぞ
「おい、うるせ────────」と目を開け、上半身を起こすが、近くまで来ていたのは犬猿雉を連れた女だった。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
(なんで女が……。さっきは女の声はしなかったし、この三匹喋れんのかよ)
津雪 憐覇
津雪 憐覇
起こしてしまったようですみません。 でも、この時間は授業中では?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
……俺達のクラスは早めに授業が終わったんだよ。誰だか知らねぇが、俺は今から寝るから出てくか、静かにしろ
シロ
シロ
な、なんだか凄く偉そうな人……
柿助
柿助
耳と尻尾があるぞ
ルリオ
ルリオ
獣耳男子ってやつか?
シロ
シロ
意外だね。俺様風なキャラなのに
ギャップ萌えとか狙いに来てる?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
おい、そこ三匹話聞いてたか。
アンタのペットなら黙らせてくれ。
つか狙ってねぇ
本来ならもっとキツめに言うところだが、相手が女なので一応控えめに文句を言う。すると、女は「えぇ、そうします」と言い、三匹に静かにするよう注意する。
清掃用のエプロン姿ではあるが、下には見たことない衣装を着ている。どこから来た奴だろうか。ま、どうでもいいが。
津雪 憐覇
津雪 憐覇
出ていく前に一つお聞きしてもよろしいでしょうか?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
あ?なんだ?
津雪 憐覇
津雪 憐覇
この辺りに、青白い浮かぶ丸い玉を見ませんでしたか?
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
なんだそりゃあ。見てねぇよ
津雪 憐覇
津雪 憐覇
そうですか……。分かりました、有難うございます。では、失礼しますね。行きましょうシロさん達
女は三匹を連れて植物園から出ていき、俺は再び目を瞑った。
随分と浮世離れしたナリの女だったが、一体何者だったのだろうか。
レオナ・キングスカラー
レオナ・キングスカラー
(大体、“青白い浮かぶ丸い玉”ってなんなんだ……?)
───────外廊下にて。
外廊下を歩いていると、バチバチと電気を走らせる白い球体らしきものがスッと私の横を通り、曲がり角を曲がって行くのが見えた。それと同時に足元に柔らかいものが当たり、「痛っ!」と誰かの声が聞こえた。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
おっと。申し訳な……ん?
シロ
シロ
う〜……見失っちゃった
ルーク・ハント
ルーク・ハント
おやおや。君、喋れるのかい?ムシュー・毛むくじゃらのお仲間かな?
シロ
シロ
ムシュー・毛むくじゃら?何それ?
オレは確かにもふもふだけど
ルリオ
ルリオ
おい、シロ。いきなり走るな。一応廊下なんだから気を付けないとダメだろうが
柿助
柿助
て言っても、もうぶつかった後みたいだから遅いけどな
今度は猿に雉が現れ、私は目を見開く。
喋る愉快な動物が目の前に三匹もいるのだ。
しかも、その三匹が私の足元で小刻みに動いて会話をするものだから実に可愛らしい。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
(面白い光景だね。彼等はモンスターなのだろうか?それとも普通に喋れるだけの動物だろうか。いや、喋れるだけの動物というのもおかしな話か)
三匹の会話に耳を傾けていると、「シロさん」と今度は女性の声が聞こえた。顔を上げると、目を奪われるような、人とは言い難い容姿を持った女性が早足でこちらへと向かって来た。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
雪のような純白の肌に、透き通った氷の様な髪……。まるで光を集めたような色素の薄い金色の瞳、儚げで浮世離れしたその容姿、実に美しい!君は何者だい!?
シロ
シロ
オレ、こんなキザなナンパの仕方外国の映画でしか見たことないや
柿助
柿助
そもそも、ナンパなのかこれ
ルーク・ハント
ルーク・ハント
まさか。私は単純に美しいものが好きなだけさ。そんな安い行為はしないよ。あぁ……でも、この世は美しいものに満ち溢れているからね。大きく輝く宝石も、磨けば輝く原石も、どれも素晴らしい
ルリオ
ルリオ
今度はいきなり語り出したぞ
シロ
シロ
でも憐覇様が浮世離れしてるのは分かるなぁ。全体的に色素が薄いから?
なんかね、憐覇様って一般的な美人とか可愛いって言われる“生者の美しさ”じゃなくて棺で寝かされてる人みたいな独特な雰囲気があるんだよね
柿助
柿助
お前失礼過ぎだろ
津雪 憐覇
津雪 憐覇
それつまり“死人”ですよね
彼女の名前はどうやら“レンハ”と呼ぶらしい。
珍しい響きの名前だが、それすら神秘的に感じてしまう。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
にしても、声まで落ち着いていて透き通っているとは……。氷の化身のようだね
柿助
柿助
それ、褒め言葉なの?
ルーク・ハント
ルーク・ハント
勿論だとも
話をしている最中に、ムシュー・もふもふが「あー!」と声を上げ、他の皆がビクッと肩を上げた。
シロ
シロ
こんなことしてる場合じゃなかった!折角電気玉見つけたのに!
ルーク・ハント
ルーク・ハント
電気玉……?もしやさっきの?
津雪 憐覇
津雪 憐覇
何処に向かったか分かりますか?
ルーク・ハント
ルーク・ハント
それならあそこの曲がり角を曲がっていったよ
アイスレディは「教えて頂き有難うございます」とお礼を言ってから頭を下げ、三匹を連れて早足で曲がり角を曲がって行った。
ルーク・ハント
ルーク・ハント
(結局何者だったのだろうか……。それと……呼び方は“スノーレディ”でも良いかもしれないね)
─────────校庭にて。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(む?なんじゃあれは)
教室に戻ろうと校庭を歩いていると、一匹の鳥が飛んでいるのが前に見えた。しかも、その真下には犬と猿と……女子が居た。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(何故女子?)
津雪 憐覇
津雪 憐覇
あと一歩の所で逃げられましたね
柿助
柿助
れ、憐覇様なら……捕まえられるんじゃ……ぜぇ……ぜぇ……
ルリオ
ルリオ
息上がってるな
津雪 憐覇
津雪 憐覇
……ここは地獄では無いので、派手に動き回るわけには行かないんです。
地獄でなら直ぐにとっ捕まえられるんですけどね
シロ
シロ
憐覇様が本来の力発揮したら、二次被害起きそうだもんね
津雪 憐覇
津雪 憐覇
どういう意味ですか
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(“地獄”?どういうことかのう?)
生憎、耳は人以上に良いもので、距離はあるが会話が聞こえてしまう。どうやら何かを追っているらしい。というか、あの動物達喋れるのか。
シロ
シロ
大丈夫!なんとなく動きは分かってきたし、次こそは捕まえるよ!
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(捕まえる……?動物でも追いかけているのかのう?)
気になって柱の影で隠れながら耳を澄ませる。
彼等の会話から察するに、追いかけているのは動物ではなさそうだ。電気の玉がどうとか言っているが、なんだそれは。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(おっと。そろそろ教室に戻らなければ)
正直会話をまだ聞いていたい所だったが、諦めて教室に戻ることにした。
リリア・ヴァンルージュ
リリア・ヴァンルージュ
(何やら面白い事がおきそうじゃな)

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