学校に行き、授業が始まる。トレイン先生の授業を受けているが、話が長くて眠くなりそうだ。
そんな時、フワッと白い何かが廊下を通った。
ゴーストかと思ったが改めて見ると、廊下を一人の女性が歩いていた。
気になったが、トレイン先生から「ケイト・ダイヤモンド。余所見をするな」と注意され、ハッと我に返る。正面を向いて、「すみませーん」と軽く謝って置いた。
────────植物園にて。
次は体力育成の授業だが、最初の授業が早めに終わって時間に余裕があったので服を着替えてから植物園へ行く。ここなら人もいないし、寝られる。
そう思って横になり、目を瞑ったはいいが……人の話し声が聞こえた。
「おい、うるせ────────」と目を開け、上半身を起こすが、近くまで来ていたのは犬猿雉を連れた女だった。
本来ならもっとキツめに言うところだが、相手が女なので一応控えめに文句を言う。すると、女は「えぇ、そうします」と言い、三匹に静かにするよう注意する。
清掃用のエプロン姿ではあるが、下には見たことない衣装を着ている。どこから来た奴だろうか。ま、どうでもいいが。
女は三匹を連れて植物園から出ていき、俺は再び目を瞑った。
随分と浮世離れしたナリの女だったが、一体何者だったのだろうか。
───────外廊下にて。
外廊下を歩いていると、バチバチと電気を走らせる白い球体らしきものがスッと私の横を通り、曲がり角を曲がって行くのが見えた。それと同時に足元に柔らかいものが当たり、「痛っ!」と誰かの声が聞こえた。
今度は猿に雉が現れ、私は目を見開く。
喋る愉快な動物が目の前に三匹もいるのだ。
しかも、その三匹が私の足元で小刻みに動いて会話をするものだから実に可愛らしい。
三匹の会話に耳を傾けていると、「シロさん」と今度は女性の声が聞こえた。顔を上げると、目を奪われるような、人とは言い難い容姿を持った女性が早足でこちらへと向かって来た。
彼女の名前はどうやら“レンハ”と呼ぶらしい。
珍しい響きの名前だが、それすら神秘的に感じてしまう。
話をしている最中に、ムシュー・もふもふが「あー!」と声を上げ、他の皆がビクッと肩を上げた。
アイスレディは「教えて頂き有難うございます」とお礼を言ってから頭を下げ、三匹を連れて早足で曲がり角を曲がって行った。
─────────校庭にて。
教室に戻ろうと校庭を歩いていると、一匹の鳥が飛んでいるのが前に見えた。しかも、その真下には犬と猿と……女子が居た。
生憎、耳は人以上に良いもので、距離はあるが会話が聞こえてしまう。どうやら何かを追っているらしい。というか、あの動物達喋れるのか。
気になって柱の影で隠れながら耳を澄ませる。
彼等の会話から察するに、追いかけているのは動物ではなさそうだ。電気の玉がどうとか言っているが、なんだそれは。
正直会話をまだ聞いていたい所だったが、諦めて教室に戻ることにした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。