俺の記念すべき、高校1年の生活はとにかく退屈だった。
去年まで、あなたと一緒だったのに、
どこを見渡しても、いるはずがない。
家に帰るまでが、ほんとに退屈でしょうがなかった。
そろそろあなたも、受験が近づいてきて、
俺が勉強教えたり、自主勉強してたり…。
とにかく、猛勉強してたんだ。
俺が塾行ってないからって、
「あなたも塾行かないで、涼ちゃんみたいに自分で頑張るもんッ」
なんて言って。
今、言いたいくらいだ。
君、ランク1つたりてなかったんだからね?
って。
でも、あなたはこの前のテストで、内申点を上げて。ランクもひとつ上がってたんだ。
つまり。
俺の高校に、受験できるランクではあるということ。
絶対に合格させたいから。
絶対に、俺の高校に入れさせるから。
精一杯、手助けしたくて。
今日もまた、こっそりあなたの勉強の様子をうかがいに行く。
窓越しから見ると、
手が止まってる…?
なんだよあの子、大丈夫かよ
窓を開けて、あなたの部屋の窓の鍵が、開いてるかを確かめて、こっそり中に入る。
なんか寝てたんだけど。笑
教科書と参考書を開いて、
ノートを思いっきり開いてあって、
おまけに片手に握ってあるシャーペン。
ほんと、頑張り屋さんなんだから__
そっと、ブランケットをかけて、
自分の部屋に戻った。
受験まで、あと1ヶ月。
あなたの合格を願って、今日も眠りにつく。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。