呟くように龍友は言った
また私の携帯に"数原龍友"という名前が登録された
今までに感じたことの無い嬉しさ
こんなに小さなことでもこんな気持ちになる
でも私には1つ誰にも言っていないことがあった。
私は、終わる日がいつ来るかわからない期間限定彼氏がいる
25歳の誕生日の前まで龍友に会えなかったら諦めるって決めていた
でも龍友と再開したのは25歳の誕生日の約1年前
彼氏には25歳になるまでキス以上のことはしないことをお願いした
私の彼氏は
白濱亜嵐
私の気持ちが亜嵐に向いていないのもわかってくれている。
でも亜嵐はかけがえのない存在だし、一緒に過ごしてきたから楽しいけど何をしてても龍友ばかり考えている
こんな最悪な私を想ってくれている亜嵐。
ほんとにごめん。って今すぐ言いたい。
涙が出てくる
まだ24歳だから龍友と付き合ってもいいのに
亜嵐に申し訳ない
亜嵐の方を向こう
私は微笑むように笑った
龍友は笑い事ちゃうねんって。あの頃を思い出す。
胸が苦しい。
彼氏が待っている。って言葉。
帰りもたくさんたくさん話して、もう8年分話せたんじゃないかってぐらい話した。
でも空白の8年間は埋められない
亜嵐と住んでいるマンションの前まで送ってくれた
一人で帰っていく龍友の後ろ姿を写真撮った
カシャって音が大きくて龍友はすぐに振り向いた
龍友が近寄ってくる
男子との自撮りなんか慣れていない
龍友ははいはいって言いながら私の身長に合わせてしゃがんでくれる
こんなことを24歳のふたりがしてるのはバカじゃんって思う人がいるかもしれない。
けど私たちにとっては大切な写真
私達はわかれた
もう、龍友に会えただけでいいや
亜嵐だけを見よう
そう決めていた
家の前で私と龍友が話しているのを亜嵐が見ていた
あれ?いない
玄関の方から亜嵐の声がした
亜嵐は優しい顔で見守っている
あなたの手が止まる
亜嵐はそっか。っていう
でも亜嵐はどうしてもあなたに自分の気持ちに嘘をついて欲しくないと思っている
あなたが寝た後もずっと考えていた
俺はいいことを思いついた
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!