第14話

文化祭③
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2021/12/21 15:33
そして、文化祭当日。


あちらこちらで生徒たちの楽しそうな声が聞こえてくる。




「ゆなー!みてみてー!」


声をかけられ横を見やると、美奈がクレープ屋の宣伝のための着ぐるみを着てはしゃいでいた。


美奈だけではなく、今日は学校全体が賑やかである。

色とりどりの看板や飾りが飾られ、普段と違った学校に少しワクワクする。



「うわぁ、いいじゃーん!」


私はそう言いながら微笑んだ。


すると美奈は私の目をじーっと見つめ、いきなり黙り込んでしまった。

そして、心配そうな顔をしながら尋ねてくる。


「ゆな、もしかして元気ない?」



え、

…なんで分かったんだろう。

そんな顔に出てたかな?

私の心の奥に残っている暗い気持ちは、楽しい文化祭でも隠し切れないのだろうか。

それとも親友の美奈だからこそ、見破ったのだろうか。

美奈はしばらく怪訝そうにしていたが、私が元気のない理由がわかったのか優しい声色で言った。


「…椎名くんのことは忘れて今日は思い切り楽しもう?」


「あ、う、うん…!」


私は、美奈の優しい言葉に少し泣きそうになりながら頷いた。
 



文化祭だというのに私の気分が晴れないのは、美奈が今言った通り椎名くんが原因である。


実は、ずっと椎名くんと話せていない。

なぜなら、椎名くんがあからさまに私を避けるようになったからだ。




作戦期間が終わった日、私はすぐさま椎名くんに話しかけに行った。

美奈や空に励ましてもらいながら、何とか2週間乗り切ったのだ。


ずっとずっと話したくてしょうがなかった。


 
何を話そう?

椎名くんはどんな反応をする?

少しは私のこと考えてくれてたのかな?

私のこと忘れちゃったりしてないかな?

作戦は効いている…?


聞きたいこと、話したいこと、気になること、たくさんあった。


でも、椎名くんは私の姿を見るなり逃げるように去っていった。

次の日も、その次の日も、私は椎名くんと話そうと試みたが、だめだった。


”避けられている”


そう気付いたときのショックはとても大きかった。

こんなことになるくらいなら、作戦なんて実行しなければよかった。

椎名くんと話せなくなるくらいなら、無理して好きになってもらう必要なんてなかった。

話せなくなるなら、避けられるなら、前のままの方がマシだったのに…。


後悔してもしきれなかった。