私はあの日から、ほぼ毎日と言っていいほど、椎名くんに告白を続けている。
告白するたびに毎回毎回、スルーされるけど…。
私が十分本気ってことは伝わっただろう。
でも…
こんなんじゃだめなのだ。
ずっとこのままじゃ、何も変わらないいままじゃ。
椎名くんに好きになってもらうことは、一生できないのだ。
「はぁ。」
最近、無意識のうちにため息をつくことが多くなった。
どうしたら、振り向いてもらえるんだろう。
まず、私のこと女とすら思っていないんじゃないか。
告白を始めて、時間が経つにつれ、だんだん不安になることが多くなった。
「おーい!ゆな?最近、ため息ばっかついてどうした?」
ふと我にかえり、俯いてた顔をあげると、美奈が私の顔を覗き込んでいた。
あ、そういえば、今昼休みだったっけ…。
それで美奈と一緒にお昼ご飯食べてたんだった。
「うん…。」
「どーしたのよ?また椎名くん?」
「うん。」
美奈には、ずっと前から、椎名くんのことを相談している。
「何回も告白しても振られるから、どうすればいいんだろうとか考えてるんでしょ?」
「うん……。」
自分でも、なんでこんなに椎名くんにこだわっているのか、わからない。
こんなに同じ人に何回も告白をしたのは、もちろんはじめてだ。
何回も告白しても、何も変わらない状況を前に、諦めたくないと思うのは、やっぱりそのくらい私が椎名くんのことを好きってことなんだろう。
「何回も告白するから悪いんじゃない?」
突然横から声がした。
振り向くと、そこには同じクラスでもあり、幼馴染でもある、空がいた。
「ちょっと〜、女子トークに割り込んでこないでよ〜。」
美奈が眉をしかめながら空に向かって言った。
「え?それどういうこと?」
私は食いつくように空に尋ねた。
「ほら、やっぱり毎日告白されるのと、たまに告白されるのとじゃ重みが違うだろ?」
あ、確かに。
毎日食べるものとたまに食べるもので特別感が違う…みたいなことなのかな?
「ていうか、ゆなから毎回話しかけるのも、やめた方がいいと思う」
そう、空がきっぱりと言う。
え、なんで…?
「でも、それじゃ逆に、話せる機会が少なくなって、疎遠になってくかもよ?」
美奈がすかさず言った。
うん、その通りだ。
私も、疎遠になるのは嫌だ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!