第12話

文化祭①
58
2021/12/18 14:40

椎名くんに話しかけるのをやめて1週間が経った。


はじめは、廊下ですれ違うたび、姿を見かけるたび、話したくてしょうがなかったけど、今ではだいぶマシになった。

でもマシになったとは言っても、正直、すごく椎名くんと話したい。

案の定、椎名くんの方から話しかけてくれたことは、この1週間で一度もなかった。

この作戦、本当に効いているのだろうか…。




「ゆな〜!教材室から木の板取ってきてくれる?」


クラスの女子がそう、言った。


「あっ、わかった!」


ガヤガヤと騒がしい教室を出て、私は教材室に向かう。


11月。

私たちの学校では、文化祭の時期なのだ。

私たちのクラスは、クレープ屋をやることになり、文化祭を2週間後に控えた今は、準備で大忙しである。

あちこちで準備をしている生徒たちの明るい声が聞こえてくる。



「お、おもっ。」


教材室に着き、木の板を持った私は悲鳴を上げた。

いくら木の板1枚が軽いからといって、何枚も持つと、こんなに重いなんて…。

積み重なった木の板のせいで、前がよく見えないほどだ。



「今年のミスコン、誰が優勝すると思うー?」


木の板を運んでいると、目の前を歩く女子生徒から、そんな声が聞こえた。


ミスコンとは、うちの学校の文化祭で行われる、男子の人気投票のようなものだ。

各クラスから代表1人を選出し、その中から学校1位を投票して決める。

言い方は悪いかもしれないけど、簡単にいうと学校1のイケメンは誰だ?!という趣旨のものだ。

毎年、女子生徒を中心にとても盛り上がるイベントである。



「んー、森田先輩じゃない〜?」


「でもでも!森田先輩は去年優勝したから、今年こそはやっぱ空くんじゃない?」


「あー、確かにー!でもさ、椎名くんってこともありえるよね…?」


「それな?椎名くんまじでかっこいいよね!!!」



(………!)

つい、"椎名くん"という単語に反応してしまう。

椎名くんがミスコンにエントリーすることなんて、ないだろうけど…。


去年は、3年生の森田先輩が優勝、空が2位に輝いた。


空はああ見えても、多分イケメンという部類に入る。

昔から一緒だったが、ちょくちょく女子から告白されているのみたことがある。

そして去年はクラスメイトの押しに負け、ミスコンに出場し、見事2位を勝ち取った。

ミスコンで3位までに入ると、そのクラスに景品が与えられる。

それで、空たちのクラスは学食1週間無料券ゲットしてたな…。



そんなことを考えていたら、急に何かにつまづく感覚がした。

すでに足を取られ、積み上げられた木の板も崩れ落ちてくる。

やば、転ぶ…!


……


あれ?

転んでない。

ふと顔を上げると、そこには私と木の板を支えている、空がいた。


「っぶね、何やってんだよ。」


「あ、ありがと。」

喉の奥から掠れた声が出た。


「ったく。お前ほんと危なっかしい…。」


そう呆れながらも、木の板を持ってくれる。

そうやって、昔から空はいつも私のことを助けてくれる。

自慢の幼馴染だ。