第13話

文化祭②
45
2021/12/19 06:51

「…んで、あの作戦、どうなってるんだよ?」


声をひそめ、ニヤつきながら空が尋ねてきた。



「どうもこうもないよ…。」


「どうもこうもないって?」


さらに深く、空が問いただす。


「話しかけてこないし、なんなら最近は目も合わせてくれなくなった…。」



作戦を決行したばっかりの頃は、椎名くんから話しかけてはくれないものの、廊下ですれ違う時などに目があったりしてたのに…。

今じゃ、目も合わせてくれない。

なんだか、赤の他人になってしまったようだ。

自分で考えた作戦なのに直面している現実を前に、心が次第に暗くなっていく。



「んー、そっか…。」


空はそう呟き、首を傾げながら考えはじめた。

そして、ハッと何かを思いついたように私の顔を見た。


「ど、どした?」


「きっと、ゆなが話しかけてこないことなんてはじめてだから、どうすればいいか悩んでるんだよ。」


そう、空が言った。

本当にそうなのだろうか。


「いいように捉えすぎてない?」


「こういうときこそポジティブにいこうぜ。まだ作戦期間も終わってないんだから、これから発展があるかもじゃん?」


私が暗い表情をしているのを見て、励ますかのように無邪気な顔で笑った。


そうだよね。まだ作戦は終わってない…。

空の言う通り、いつもの私らしくポジティブに行かなくちゃ。



「うん。ありがとう、空。」


「おう。」


「あ、そうだ。」


私はそう言って、空の耳元に近づく。


「…美奈への告白、頑張ってね。」


私がそう言うと、たちまち空の耳が赤くなっていく。


「うっせ。俺のことはいーんだよ。」


ふふ、面白い。


「追いてくぞー。」


照れ隠しなのか、足早になった空が私から逃げるように、どんどん距離を離していく。


「ちょっと、待ってよー!」


私は、少し先を歩く空の背中を慌てて追いかける。





空のおかげで、沈んでいた気持ちが少し晴れた気がした。