濵田side
まさかあなたがバイト辞めると言うと思わんかった。
そんなに藤井が好きやったん?
バイトに来てたんも藤井に会うためやったんやな。
じゃあ僕と話してるときに楽しそうやったのも自分が自惚れてただけか。
......虚し。
なぁあなた、ほんまは分かってるんやで?
藤井に会いたくないから、もうここにいる必要がないこと。
なんて言えたら、どれだけいいか。
言えへんから、いつも優しい濵ちゃんで終わってまうねん。
あなたを困らせたくなくて、優しさの嘘を重ねてしまうんや。
もういいよ、お客さんが来ーへんくてつまらへんからって理由でええから。
はよ出てって...。
じゃないと、期待してまう。
ほんまはもっとここにいてほしい。
けど、優しさが邪魔して...。
お願いやから、はやく突き放して。
もうあなたに溺れてるんや。
出ていこうとせず、また涙を零すあなた。
なんで泣くん?正直に言わんくてもええよ、
藤井のことなんか思い出させんといて...
知ってる。
知ってるから、はやく。
そんなん聞かんでもわかるけど。
なんで聞いたんやろ...。
もうこれ以上なんも聞きたくないわ。
さっきより大量の涙を涙を流しながら立ち上がるあなた。
確かに迷惑や。
こんだけ好きにさせといて、藤井目当てやなんて。
確かに頼ってたけど嬉しかったし、なんでやろ?
そら、好きな人は助けてあげたいからね。
あなたは相変わらず涙を流し続けた。
行かんとって、消えんといて
あかん、引き止めてもうた。
引き止めたからには言わなあかん。
よくわからんって顔してる。
でも、もう無理、伝えて自爆してしまおう。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!