第44話

甘くて苦い⑤ 濵田崇裕
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2018/12/30 00:56
あなたside
濱田崇裕
濱田崇裕
...好き。
あなたが好きや。
拳をぐっと握りしめて、一言一言噛み締めるように話す濵ちゃん。
そんな姿を見るのは初めてで、少し戸惑った。
嘘なんかな...。
濵ちゃんがうちを好きなわけがない。
濱田崇裕
濱田崇裕
ほんまに、本気やねん
あなた

そんなん、ありえへん...。

濱田崇裕
濱田崇裕
絶対この気持ち受け止めてくれへんことは分かってる。
やけど苦しいんよ。
あなたの存在は迷惑なんかやない
むしろ...
僕にとって必要不可欠。
切なく微笑むその姿は、とても苦しくて、
美しくて、溺れてしまいそうやった。

...いや、溺れてしまった。
濱田崇裕
濱田崇裕
悩み相談するときに敬語になったり、
アホそうやけどめっちゃ考えてくれるとことか。
ほんまに好きでたまらんねん。
なんでやろ...
胸が苦しい。
藤井さんに失恋したから?
違う。
誤解されたまま終わりたくない。

認められなくても、
たった今気づいた恋心を知ってほしい。
こんなのわがままだよね。

でも、いいや。
濱田崇裕
濱田崇裕
だから、僕を...
濵田をはやく、振ってください。
うちに右手を差し伸べる濵ちゃん。
きっとその手を振り払えってことなんやと思う。
でもうちは、その手を振り払うつもりはなくて、
グッとその手を掴んだ。

視界には驚いた表情の濵ちゃん。
それさえも愛しく思えて、勢いに任せてキスをした。

初めてのキスは、ブラックコーヒーの苦さと、
カフェラテの甘さが混ざりあって、とてもちょうどよかった。

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