第45話

苦くて苦い 藤井流星
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2018/12/30 02:47
※「甘くて苦い」の流星くん視点です。
藤井side
そんなつもりじゃなかったんや。
ちょっと嫉妬させようと思っただけやった。
誰もいないカフェでキスをするあなたと濵ちゃん。
俺はバイクを蹴り、無気力に崩れ落ちた。

...俺はずっと、あなたが好きやった。
親友の濵ちゃんと同じ時に好きになった。
だから、どっちが落とせるか対決しようって話になった。
まぁ、相手が濵ちゃんやし、正直余裕ぶってた。
濵ちゃんの方があなたと関わる時間が多いから、あのカフェにもできるだけ毎日通うようにした。

今日もいつも通りカフェのドアを開けようしたら
あなた

濵ちゃんボケてきてんのとちゃう!?

まぁまぁ大きめの声が聞こえた。
濵ちゃん怒られてるんや、いい気味とか思って中に入ると、笑顔のあなたと濵ちゃん。
一応冷静を装ってそのあとも対処してたけど、やっぱり黒い感情が渦を巻く。
なんであんな仲ええの...

あなたは俺に落ちてるんやろ?
俺に愛されたいんやろ?
濵ちゃんなんかにそんな笑顔向けんなや、
嫉妬でアイスとコールドのくだり笑えんかったし。
でもあなたに嫌われたくないから笑っといた。

内心では別のこと考えてたけど。
しかも濵ちゃんがわざわざ俺にあなたが俺の事で騒いでるって言ったのも策略やと思う。
アホでもずる賢い濵ちゃんのことやから、わざとバラすフリして俺を焦らそうとしたんやろな。

それにまんまと引っかかった俺は焦りからあなたを嫉妬させてみようと思って、そこら辺の女呼んでバイクに乗せて帰る予定やった。
でも、相手の女が勘違いしやがってあなたが見てる時にキスしてきたんや。
それを見た時のあなたの顔は、あまり苦々しくて直視出来なかった。
慌ててその女を突き飛ばしてあなたがいた方を見たけどもうそこにはいなかった。

その後しばらくその女に怒鳴られて、
やっと解放されてカフェの中を見たら2人で向かい合って話してた。

...多分、ここで中に行けてたら未来は変わってた。
やけど弱い俺にはそんなこと出来んくて。
ただただキスする2人を眺めて勝手に落胆して。
苦くて苦いこの気持ちを抱えて、逃げ出したんや。
"星が綺麗ですね"

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