ぎゅーっ
また今日も、いきなり後ろから抱き着いてきた。
あなたちゃんは俺の先輩。彼氏はいないらしい。
俺はそんな先輩が好きなんです。
俺の中では、あなたちゃんの方が可愛いんやけど。
そんな先輩に、毎日抱きしめられる俺。
俺の方が背は小さいし、歳も俺の方が下。
...でも、毎日抱き着かれるばっかりは、
やっぱ楽しないなぁ。
それに、男子が女子に抱き着かれるのは
ちょっと子供扱いされてるようで。
それだけは、許されへん。
ちっさくても、俺は男やねん。
俺やってあなたちゃんのこと、抱きしめたりしたい。
あなたちゃんの周りの人に話を聞くと、
あなたちゃんは誰でも抱きしめるらしい。
可愛かったら誰でも。じゃあ、俺も可愛いって思われてんのかな。
...それは、悪い気ぃせんけど///
でも、男はかっこいいって思われたいんよ。
ぎゅうーっ
やっぱり、俺が抱きしめてあげたい。
だって俺は、男なんやから
結局、あなたちゃんに抱きしめられてた。
でも、たまには俺から抱きしめてみるのもありかもしれへん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!