第21話

カゲロウデイズ×まいぜん
1,112
2021/01/06 11:32
※季節感全然違うですけど夏みたいな気分になって温まってくれたら嬉しいです。
8月15日の午後12時半くらいのこと。
ぜんいち
ぜんいち
天気がいい…
病気になりそうな程眩しい日差しの中…することもないから君と駄弁っていた。
キャリー
キャリー
でもまぁ…夏は嫌いかな…
猫を撫でながら君はふてぶてしく呟いた。
あぁ…逃げ出した猫の後を追いかけて飛び込んでしまったのは…
赤に変わった信号機…
ぜんいち
ぜんいち
はっぁ……( ゚д゚)ハッ!
バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ…
血飛沫の色、君の香りと混ざり合ってむせかえった。嘘みたいな陽炎が…
ぜんまい
ぜんまい
嘘じゃないぞ…
って嗤ってる。
夏の水色、かき回すような蝉の音全て眩んだ。
ぜんいち
ぜんいち
( ゚д゚)ハッ!
目を覚ました時計の針が鳴り響くベットで…
ぜんいち
ぜんいち
はぁはぁはぁ…
今は何時…
8月14日の午前12時過ぎくらいを指す…やけにうるさい蝉の声を覚えていた。
ぜんいち
ぜんいち
でもさぁ…少し不思議だな。
同じ公園で昨日見た夢を思い出した…
ぜんいち
ぜんいち
もう…今日は帰ろうか…
道に抜けた時。周りの人は皆上を見上げて口を開けていた。
落下してきた電柱が君を貫いて突き刺さる…
ぜんいち
ぜんいち
あぁ…(つд;)
つんざく悲鳴と、風鈴の音が木々の隙まで空回り。わざとらしい陽炎が…
ぜんまい
ぜんまい
夢じゃないぞ。
って嗤ってる。眩む視界に君の横顔笑っているような気がした。
何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る…繰り返して何十年。
ぜんいち
ぜんいち
もうとっくに気がついてんだろ…
ぜんいち
ぜんいち
こんなよくある話なら結末たったひとつだけ…
繰り返した夏の日の向こう。
バッと押しのけ飛び込んだ瞬間トラックにぶち当たる。血飛沫の色、君の瞳と斬り刻む体に乱反射して…
文句ありげな陽炎に…
ぜんいち
ぜんいち
ざまぁみろよ
って笑ったら…実によく夏の日の事。何かがここで終わった。
目を覚ました8月14日のベットの上、少女はただ…
キャリー
キャリー
また駄目だったよ…
とひとり猫を抱き抱えていた。

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