家に戻り、ベッドに横たわる。
壁にかけてあるカレンダーを見つめた。
___これ、ヨンジュンからの誕生日プレゼントなんだよなあ。
「ふぅ…」
夏休みまであと1週間もない。
それまでにヨンジュンとの仲をどうにかして直さなきゃ。
何か行動に移そう。
そう思い立ってカトクを開く。
…相変わらず返事が素っ気ない。
ケータイをベッドの上に放り投げ、天井を見つめる。
「あぁー、もう!!」
他の女子には愛嬌振りまいてるクセに。
私の気持ちは何一つ考えてくれないじゃないか。
「ばかヨンジュン!!」
苛立ちなのか、寂しさなのか、正体のわからない気持ちが私を包む。
…気晴らしにラーメンでも食べようかな。
ケータイを放置したまま、台所へと向かう。
___通知音が鳴ったことを知らずに。
台所を覗くと、兄のスビンが立っていた。
どうやらパンを食べていたらしい。
「…またパン食べてる」
スビン「だって美味しいもん、あなたも食べな?」
そう言って私にメロンパンを差し出す。
「ごめ、私ラーメン食べたい」
スビン「えぇ〜もったいない」
スビン「…」
スビン「あなたがラーメン食べる時ってだいたい落ち込んでるときだよね」
スビン「…なんかあったの?」
なんでそんなことに気付くんだろう。
スビンに説明すると話が長くなりそうだったので、
「んー?なんでもないけど」
と嘘をついた。
スビン「…へぇ」
しばらくするとスビンはパンを食べ終わり、私のことをじっと見つめた。
次は何を言い出すのかと思ったら
「頑張ってね」
と、だけ言って台所を後にした。
スビンがその時意図していたことは私には検討がつかなかった。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。