『な、なに急に。離してよ!』
言ってしまえば今はお兄ちゃんに床ドンされている状態。
この不機嫌な兄を収まらせるにはと
色々考えたけれど、ただ兄の腕の中でもがいていることしか出来なかった。
大晴『なんで今朝ふったやつと楽しそうにしてるん?俺の事煽ってんの?』
『そ、それは思ったよりも楽しくて……』
そう言うと、頬にポタってした感触があった。
お兄ちゃん……泣いてる?
大晴『俺な、あなたのこと一目惚れやねん。』
大晴『兄妹になった日からお前が好きやった……やから、』
段々聞き取りずらくなって
言葉をりかいするのがやっとで
『お兄ちゃん、嫉妬したの?』
コクっと頷くお兄ちゃんは
まるで叱られたわんこのようで
とても愛くるしかった。
大晴『もう、お兄ちゃんなんて呼ばんといて…』
その言葉を聞いて私は
心が苦しかった。
『私も、本当はお兄ちゃんのこと大好きだよ、』
『ずっと前から大晴くんが好き…。』
今の自分はきっとゆでタコだ。
すごく恥ずかしい、
大晴『あなた、俺と付き合ってくれへん…?』
クシャッと笑顔のお兄ちゃんは
私の1番好きな顔してた。
口が裂けても言わないって決めてたのに
『良かった』って笑うお兄ちゃんの笑顔を見てると
頭の中が白く溶け落ちるような衝撃が走って
私も自然と笑顔になっていった。
これからはお兄ちゃんじゃなくて
1人の好きな人として__
Fin.
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。