第2話

お兄ちゃん_2_ ((福本大晴))
222
2020/07/07 10:58
放課後の校門前


少しブレザーを整えながら、来るはずのお兄ちゃんを待つ


そして、待つこと5分。


ようやくお兄ちゃんの姿が見えた


大晴『ごめんな、また後輩に呼び出されててん。』


『大丈夫、気持ちわかるし。』


案の定、遅刻の理由は後輩に告られていたから


いつも同じ理由だ。


そんなことを思いながら、集合場所へと足を進める。


大晴『みんなええやつやし、そんなに緊張せんでええからな??』


『うん、お兄ちゃんの友達なら安心できる…かも…』


大晴『いつも通りおればええから笑』


お兄ちゃんのモテる理由がなんとなくだけど分かる気がする。


イケメンなのもそうだけど、この些細なとこも気をつかってくれるところも


あと


大晴『あ、みんなもうおった笑』


この5歳児のような笑顔。


お兄ちゃんの笑顔は心から楽しんでいる気がして1番好き。


こんなこと、口が裂けても言えないけど。


『こ、こんにちは』


適当に挨拶をすませて


みんなが入っていく場所は大型のカラオケ店


メンバーは、お兄ちゃんの友達…と言っても


男子と女子どちらも同じ人数揃っている


え、これほんとに遊ぶだけだよね?


まるで合コン。そう思っているのは私だけなのかと


逆に不安がくるばかり。


お兄ちゃんとは席が離れたし、一体何人いるっての。


私の向かいの席に座るのは、今朝告白してきた学年1のモテる人


めちゃくちゃ気まずい。


『あ、あの、今朝はごめんなさい…』


勝手に口が動いて自分でも驚いた。


モブ『大丈夫だよ笑なんかごめんね、俺の方こそ困らせたよね』


返ってきたのは意外な一面の言葉。


アルトの声でトークするその人はとても魅力的だった。


面白いし、お兄ちゃんの隣に並ぶくらい気遣いが出来ていて


いつの間にかその人とだけ話が進んでいた。


『あ、モブくんってそれ系が好きなんだ!笑』


モブ『そうそう笑でもすごく面白いからあなたちゃんにもおすすめするよ!』


こうやって話せていても少し緊張していた


その理由はなんらかの視線を感じたから。


お兄ちゃんだ。


こちらをチラチラと見つめては何か不機嫌そうな面持ちをしている。


大晴『ごめん、俺帰るわ。』


その時、私より遠い席に座っていたお兄ちゃんが急に立ち上がって


友達らきし人にそう伝えるとこっちに向かってきた。


私の腕をグイッと引っ張って


大晴『あなた、時間遅いから帰るで。』


『え、あ、うん…』


『またね…!モブくん!』


モブ『うん!また学校で話そ…!』


今朝振った人にこんなことを言うのは罪悪感を感じたけれど


お兄ちゃんの視界から逃れることは出来なくて


2人でカラオケを後にした。


家に帰るまで何も会話が無かった


これは初めてだ


玄関で先に靴を脱ぐと、


ドンッ…!


急に床に押し倒された


大晴『あなた、お前どういうつもりなん?』


その瞳は、今までに見たことないものでした。


to be continued…

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